2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路網のカオスを用いたヘテロ脳間及び脳内へテロコミュニケーションの原型モデル
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
24120707
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奈良 重俊 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60231495)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カオス的ダイナミックス / 神経回路網 / 脳内コミュニケーション / 非線形光電子能動素子 / 不良設定問題 / 同時多チャンネル通信 / ヘテロ二体間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)リカレント型神経回路網モデルによる通信機能に関する計算機実験として,400個の二値(±1)神経細胞から成る神経回路網モデルを作り,それを3層結合させて準階層リカレント型とする。そしてそのシナプス結合行列(1200行1200列)に周期アトラクターを埋め込んだシナプス結合行列を決め,少数結合を導入して状態更新を行いカオスを発生させた。そして適切に送信神経細胞を設け,信号入力を行い,別途設けた受信細胞との相関関数を評価し,また送信信号と同期するかどうかをこれも相関関数を計算することにより評価した。その結果,送信信号がいったんカオス中に散って表面上は見えなくなるが,時空間的に離れた点において再びその信号が発現していることを発見した。これは脳波実験や fMRI 実験とも合致する現象であることを示し,そうした通信チャンネルを二系統設け,カオスを媒体として2点間同時通信を実現させた (2)非線形光電子デバイス結合系による通信機能に関する計算機実験として,動的自己電気光学効果素子(略称をDSEEDと称し申請者が考案したモデル)の示すパルス発振を擬似神経細胞モデルのハードウェア素子とみなし,二状態モデルと同様の計算機実験とその数値解析による研究を行った (3)擬似神経細胞素子のネットワークに関して計算機実験を行い,二値神経細胞ネットワークと同様な同時多チャンネル通信の計算機機能実験を試みた 上記(1)で用いた単一神経回路網モデルを2システム準備し,それらを独立した巡回ロボットに搭載し,二者間の独立なカオスによる行動上の相互作用(追跡と逃走志向,相互邂逅志向)を行う計算機機能実験を行い,その成功率などのデータ収集と解析を行った (4)国際会議:International Dynamic Brain Forumにおいて上記成果を発表した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初掲げた「準階層リカレント型神経回路網におけるカオスを含む複雑なダイナミックスを通信媒体として用いた複数離点間同時多チャンネル通信の計算機実験とそれに基づく脳内コミュニケーション機能あるいはマルチタスク同時実行へのアプローチ」について,成功裡に計算機機能実験が進んでいる。また,非線形光電子能動素子を擬似神経細胞素子としてそのネットワークを形成した系においても同時2チャンネル通信の計算機機能実験が成功している。さらに双方向の場合も成功裡に進行中である。独立な巡回ロボット二体に独立なカオスを用いた行動的相互作用(追跡と逃走,相互邂逅志向)については計算機実験が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)本報告における研究段階では送受信神経群において振幅同期が実現されたが,さらに高性能な複数離点間同時多チャンネル通信を実現する最適パラメータを求めて計算機実験とそれに基づく脳内ヘテロコミュニケーション機能へのアプローチを行うこと,(2)同時マルチタスクの計算機機能実験を行うことおよびその最適なパラメータを求めてそのときのカオスがどのような動的構造を有しているかを評価すること,(3)2体の自律ロボットに発生させた互いに独立なカオスを介して両者が機能的相互作用を行う計算機機能実験,およびそれに基づくより高度なへテロ脳間コミュニケーション機能へのアプローチへ向けての展開研究を行うこと,が今後の推進方策として考えられる。
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