2012 Fiscal Year Annual Research Report
多様なダイナミクスを学び,理解し,生み出す学習理論の新展開
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
24120711
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
古川 徹生 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (50219101)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自己組織化マップ / テンソル分解 / 転移学習 / メタ学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 他者とのインタラクションから自己組織化する自己認識 (1-a) 本研究を推進する重要なアルゴリズムである,テンソルSOMの開発に至った.これは非線形テンソル分解のニューラルネット実装である.テンソルSOMは関係データの多面的解析に際して強力な手法となるが,その代表例としてコミュニケーション分析が挙げられる.テンソルSOMを用いてE-mailトラフィックデータを解析し,社内における人間関係の解析・可視化を行うことができた.さらに時系列解析も行い,社内の人間関係が時系列的に変化する過程も解析できた.またHodge分解との比較も行った.(1-b) 一方,他者理解・自己理解の観点では,潜在空間において因子分解を行う「潜在因子分解法」を開発し,観測対象の内部表現と観測者視点の内部表現を同時推定する試みを行った. (2) サル皮質脳波による脳内ダイナミクス推定 テンソルSOMを用いてサル皮質脳波 (ECoG) の解析を行った.サルが社会的コンテキストをどう理解するか,また他者(他のサル)や自己を識別する際に特有の応答がでるかどうかを調べた.その結果,人間が意図した実験内容よりも,むしろサルが実験そのものに飽きていく過程が優位に効いていたことが明らかになった.意図した結果は得られなかったものの,テンソルSOMは脳波等の多チャンネル信号解析に有効な手段であることが確認できた. (3) マルチシステム学習の理論基盤確立 (3-a) マルチシステム学習の理論基盤を確立するため,問題の定式化と理論的枠組みを構築した.それは転移学習,メタ学習の中でも難易度の高いものに属するタスクであることが明らかになった.(3-b) この学習理論を構築するため,階層ベイズ推定に基づく潜在ダイナミクス推定法について研究を進めた.(3-c) ダイナミクス学習を発展的に学習する自己進化型アルゴリズムを開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テンソルSOMの開発およびテンソルSOMによるインタラクション解析,ECoG解析などは順調に進んでいる.また潜在因子分解法のように当初予定しなかった成果も得られている.一方で当初予定していた非線形振動子については,テンソルSOMに主力を注いだ関係でストップさせている.
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Strategy for Future Research Activity |
テンソルSOMの開発など新たな局面を迎えたため,研究計画の中でも重要性の高い部分に焦点を当てて取り組む.特に優先度の高いテーマとして,(1) テンソルSOMの確立とインタラクション解析への応用 (2) 潜在因子分解法の確立 (3) メタ学習・転移学習の観点で見たマルチシステム学習の理論化の3点が挙げられる.またテンソルSOMによるECoG解析,脳波解析を通して,他研究者との共同研究も進める.
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