2012 Fiscal Year Annual Research Report
リハビリテーションの治療者-患者間コミュニケーションの効果とその神経機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
24120722
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Research Institution | Morinomiya Hospital Neurorehabilitation Research Institute |
Principal Investigator |
服部 憲明 社会医療法人大道会森之宮病院, その他部局等, その他 (70513141)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コミュニケーション / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、脳卒中後の運動リハビリにコミュニケーションが与える影響を神経科学的に明らかにすることである。そのために、コミュニケーションを図りながらリハビリ運動を評価・計測できるシステムを構築している。 上肢手指屈伸装置:求められる要件として、機能改善に結び付く可能性のある課題であること、難易度を患者さんに応じて調整できること、施行中にコミュニケーションがとれること、などが挙げられる。更に、機能的MRIで脳活動を同時に計測するためには、装置をMRI室内に持ち込める、測定中に頭を動かさない、など、より厳しい条件が求められる。試行錯誤の末、第三世代のシステムでようやくこれらを満たすものができつつある。また、ハードウェアの開発と同時に、機能的MRIに適した実験デザインについてMRI外の予備実験で詳細に検討した。 歩行計測装置:玉川大学大森隆司先生らとの共同研究で Kinect#169;を用いた歩行計測、フィードバックシステムを開発している。従来、歩行について客観的に評価するには、非常に高価な動作解析装置を用いるか、逆に、10m歩行の時間を計測するなどの非常に単純化された指標しかなかった。しかし、 Kinectは、非常に安価で携帯性に優れ、歩行リハビリ目的で用いた研究は我々が知る限り無いが、潜在的なポテンシャルは高い。フィードバック用のプログラムの基本的な部分が24年度に出来上がった。 患者の心理特性についての研究:コミュニケーションの背景として、患者さんの心理・性格特性を把握することは非常に重要である。従来、心理・教育などの分野では、数多くの指標が提案されているが、脳卒中患者を想定して開発されたものほぼ無い。したがって、心理・性格の評価項目だけではなく、実際に患者さんにも使用できるかという視点で評価バッテリーを選定した。現在、院内の他職種の協力を得て、データを収集中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年間という限られた研究期間を最大限に利用するために、初年度は、独自性のある研究環境の構築に重点を置いていた。その結果、上肢手指屈伸装置については、ほぼ、完成に近い形にまで作りこむことができた。Kinectを用いた歩行計測装置もすでに簡単な視覚的なフィードバックはできる状態となった。心理・性格評価もシステマチックにデータを収集出来る体制を構築した。以上より、計画は順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
麻痺側上肢手指屈伸装置を用いた研究は、機能的MRIを測定しながら、運動課題を施行し、フィードバックの内容が、運動学習や課題施行中の脳活動に与える影響を、実際に片麻痺を有する患者さんを対象として行う予定である。 歩行研究では、歩行計測・フィードバックシステムについては、基本的なプログラムは出来上がっており、歩行周期のタイミングの精度を上げるために、足に取り付ける小型のセンサーを開発し、システムを完成させ、できるだけ早期に臨床データの取得を開始する予定である。また、単純な視覚フィードバックもKinectで処理し提示される単純化された画像は、通常のビデオよりも、歩行時の特徴を把握しやすいという特長がある。予備的な実験では、これらを見ている時の脳活動は異なる傾向があった。脳内処理機構の詳細について機能的MRIで検討する予定である。 患者の心理特性についての研究では、臨床データを蓄積し、脳卒中の機能回復との関連を探索的に検討する。さらに、上記のようなリハビリ運動学習に心理・性格特性が与える影響の検討を加える事で、本研究の異なるテーマを有機的に結びつけることを目指す。
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