2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内リガンドによる受容体型チロシンキナーゼの活性化機構
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
24121705
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手塚 徹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50312319)
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Project Period (FY) |
2012-05-29 – 2014-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
Dok-7はN末端側にPHとPTBドメインを、C末端側にリン酸化されるチロシン残基を持っており、典型的な細胞内アダプター蛋白質の構造を示す。しかし、Dok-7にはアダプター蛋白質には予想されなかった機能、即ち、受容体型チロシンキナーゼMuSKの細胞内領域に直接作用し、活性化する細胞内リガンドとしての機能があり、しかも、その機能が神経筋シナプス(NMJ)の形成に不可欠の役割を果たすことが示されている。しかしながら、このDok-7によるMuSK活性化の分子基盤は未解明である。そこで、本研究では、MuSKの細胞内領域とそれを活性化できるDok-7の領域との複合体構造を解き、「細胞内リガンドによる受容体型キナーゼの活性化」と言う全く新しいメカニズムの分子基盤や生理的な意義を解明することを目的としている。本年度は、上述の複合体の立体構造解析を行うために、MuSKの細胞内領域とGSTとの融合蛋白質の昆虫細胞発現系、ならびに、Dok-7(野生型と種々の変異体)とGSTとの融合蛋白質の大腸菌発現系を作製し、当該組み換え蛋白質の大量発現と可溶化・精製の手法を構築した。さらに、GST部分を酵素的に除去した後の、MuSKの細胞内領域およびDok-7蛋白質について、ゲル濾過カラムなどを用いた精製・濃縮法を構築した。他方、MuSKの活性化に必要なDok-7の領域について、in vitroキナーゼ反応系などを用いて、特定を進めた。今後は、構築した蛋白質発現・精製系により得られたMuSKの細胞内領域とそれを活性化できるDok-7の領域の共結晶化を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の当初研究目的であるDok-7/MuSK複合体の立体構造解析について、その実施に必要不可欠な、両者の組み換え蛋白質の発現・精製系を構築することに成功しているため。また、MuSKの活性化に必要なDok-7の領域についても、その特定がおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に構築した蛋白質発現・精製系により得られたMuSKの細胞内領域とそれを活性化できるDok-7の領域の共結晶化を進め、そのX線構造解析に挑む方針である。
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