2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNA上のスライディングの方向による塩基変換の酵素反応速度の違いとそのメカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
24121714
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片平 正人 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (70211844)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 分子認識 / タンパク質 / 酵素 / ウィルス / NMR / HIV |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトのAPOBEC3Gタンパク質(A3G)は、HIVのマイナス鎖DNAに作用し、シトシン塩基を脱アミノ化してウラシル塩基に変換する。これによってHIVのゲノム情報は破壊され、A3Gは抗HIV活性を示す。我々はNMRシグナルを用いる事で、この塩基変換反応をリアルタイムでモニタリングする事に成功した。CCC配列の3番目のシトシン塩基が脱アミノ化反応の標的となるが、CCC配列が5’端近くに位置するほど脱アミノ化反応が早く進行する事を、この手法によって見出した。また1本の鎖の上流と下流にCCCを2つ配置した場合、上流のCCCの方が早く脱アミノ化されるが、2つのCCCの間に2本鎖領域を形成させると、脱アミノ化の速さが同じ位になる事を見出した。A3Gが1本鎖DNA上をスライディングしながらCCCを探査し、脱アミノ化を行っている事を、この結果は強く示唆した。 次に標的配列であるCCCがDNA上の5’端に近いほど脱アミノ化が早く生じる事を合理的に説明する事を試みた。実験データを、カイネティックモデルを用いて解析した。その結果A3Gの脱アミノ化反応の触媒活性は、A3GがDNA上を上流に向かってスライディングしながらCCCに到達した際の方が、下流に向かってスライディングしながらCCCに到達した際より大きい、とする事で上記の現象が説明できる事が分かった。5’端に近いCCCほど、その下流に結合したA3Gが、上流に向かってスライディングしながら当該箇所に到達する確率が高くなる。その際に触媒活性が上記のような関係にあれば、5’端に近いCCCほど脱アミノ化が早く生じる事になる。触媒活性がスライディングの方向に依存する理由としては、標的シトシン塩基にA3Gがアプローチする方向が異なると、A3Gの触媒ポケットへのシトシン塩基の収まり具合に優劣が生じ、これによって触媒活性の大小が生じる事が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
APOBEC3Gタンパク質によるDNAのシトシンの脱アミノ化において、標的配列であるCCCがDNA上の5’端に近いほど脱アミノ化が早く生じる事を、適切なカイネティックモデルを構築する事で合理的に説明することに成功したので。
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Strategy for Future Research Activity |
APOBEC3Gタンパク質の脱アミノ化の酵素活性が、スライディングの方向によってなぜ異なるのかを、同タンパク質の立体構造に関する情報に基づいて合理的に理解する事を目指す。
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Research Products
(10 results)