2012 Fiscal Year Annual Research Report
特異的ケミカルラベル化によるタンパク質複合体の超高解像度可視化
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
24121721
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王子田 彰夫 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10343328)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | タンパク質 / ラベル化 / 一分子可視化 / 電子顕微鏡 / 金ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度では、タンパク質ラベル化のための新しい技術としてのリアクティブタグ法の開発を中心に研究を進めてきた。特に新しく見いだしたD2タグ系のタグ配列最適化に注力した。この検討においては、従来のペプチドを用いたタグ配列の最適化を当初行い、その後に、より効率的にタンパク質上で最適化評価が可能な新しい手法を確立した。このタンパク質を用いた手法は、大腸菌において大量発現可能なマルトース結合タンパク質(MBP)上にPCR法を用いて異なる配列を有するペプチドタグを導入し、このタグ導入MBPと蛍光色素を有する亜鉛錯体型蛍光プローブとのラベル化反応速度をゲル電気泳動後にゲルイメージャーにより評価する手法である。この手法は、従来まで実施してきた手動による固相ペプチド合成により得たペプチドを用いたラベル化評価法に比べて、より簡便かつ多くのタグ配列の評価を可能とする優れた手法である。本年度は、このMBPタンパク質を用いた評価法開発のため多くの時間を費やしたたため、当初予定していた研究計画の期間内での実施が困難となり、研究期間の半年間の延長が必要となった。しかしながら、このMBPタンパク質を用いた評価法を用いることで、最終的に高い反応性を有するペプチドタグ配列を見いだすに至った。具体的には、まずペプチドを用いた検討により、天然タンパク質であるグルタレドキン様配列を持つアルファヘッリクス形成型D2タグを見いだした。その後にMBPタンパク質を用いた評価法により、網羅的な評価を行い、天然タンパク質であるチオレドキシン様配列を持つアルファヘッリクス形成型D2タグを見いだした。このチオレドキシン配列型D2タグは、グルタレドキン型D2タグと比較して3倍早いラベル化速度を示し、タグ導入MBPタンパク質をわずか10分程度で50%のラベル化が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MBPタンパク質を用いた新しいペプチドタグ評価法を確立し、これを用いて早いラベル化反応速度を示すチオレドキシン配列型D2タグを見いだすことができたことは予想外の大きな成果といえる。一方で、このタグを用いた電子顕微鏡によるタンパク質の可視化については、準備は進めているものの十分な検討はできておらず翌年度に持ち越すこととなった。また、ヒスタグを用いたタンパク質ラベル化法についても着手してはいるものの十分な検討ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見いだしたチオレドキシン配列型D2タグを用いて電子顕微鏡による膜発現タンパク質の一分子可視化の検討を進める。一方でD2タグ系とは異なるヒスタグを用いたタンパク質ラベル化法についても今後検討を進める。
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