2014 Fiscal Year Annual Research Report
ネアンデルタールとサピエンスの骨格の形態差から探る飛び道具使用行動の差異
Publicly Offered Research
Project Area | Replacement of Neanderthals by Homo sapiens: testing evolutionary models of learning |
Project/Area Number |
25101706
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日暮 泰男 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (90580283)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 交替劇 / 投擲 / 投槍器 / 実験考古学 / 運動学 / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
約5万年前にサピエンスがアフリカからユーラシアに拡散すると、それ以前からヨーロッパを中心に生息していたネアンデルタールは地球上から姿を消した。本研究の目的は、飛び道具使用行動からネアンデルタールとサピエンスの交替劇について考察することである。平成26年度は、投槍器にかんする以下の研究を重点的に進めた。投槍器は、先端部に突起(または凹み)のついた棒(または板)のことで、槍の飛距離および貫通力と命中精度などの槍投げのパフォーマンスを向上させるための道具である。投槍器は交替劇よりも前につかわれはじめた可能性がある。 1.実験考古学的研究 ネアンデルタールとサピエンスとの交替の原因を説明するさまざまな仮説の中に、両者の間に存在した狩猟技術の違いを重視する見方がある。この見方にとって、狩猟具の種類が石器のサイズのみから判断できるかどうかという問題はきわめて重要である。こうした考古資料の解釈に有用なデータを提示するために、槍先端部の質量が投槍器をもちいた槍投げの飛距離におよぼす影響を実験考古学的に調べた。この研究の結果は、狩猟具の種類が石器のサイズのみから判断できるという考えと調和しなかった。 2.バイオメカニクス的研究 投槍器が槍投げのパフォーマンスを向上させる理由の一つは、投擲動作にふくまれる円運動の回転半径が延長されるからであると考えられるが、しかしながら投槍器の仕組みが完全に理解されているわけではない。投槍器の仕組みについての理解を深めるために、手部で直接槍を投げる場合と投槍器をもちいて槍を投げる場合とで体幹および上肢のキネマティクスを比較した。投槍器をもちいると肘関節を大きくつかえるようになることがわかり、このことも投擲パフォーマンスの向上に貢献する可能性が高い。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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