2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋大循環モデルと陸域生態系モデルを用いた古植生分布再現とその不確実性評価
Publicly Offered Research
Project Area | Replacement of Neanderthals by Homo sapiens: testing evolutionary models of learning |
Project/Area Number |
25101709
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
大石 龍太 国立極地研究所, 北極観測センター, 特任研究員 (90436600)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 古気候 / 古環境 / 大気海洋大循環モデル / 亜氷期亜間氷期サイクル / 全球動的植生モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新学術研究「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相: 学習能力の進化に基づく実証的研究」B02班が大気海洋大循環モデルで行った古気候実験の結果と、全球動的植生モデルを用いて、過去3~6万年前の亜氷期亜間氷期サイクルが卓越した時代の植生分布の再現を取り扱った。大気海洋大循環モデル実験は計算機資源の制約があるために出力結果の水平解像度が約2.8°格子であるため、そのままでは人類進化の証拠である遺跡分布との協働が困難である。そこで、一般に統計的ダウンスケーリング(statistical downscaling)と呼ばれる手法を用いて、(1)0.5度格子への高解像度化、(2)大気海洋大循環モデル出力結果の全球動的植生モデル入力変数としての整備を並行して行った。その結果、特定の大気海洋大循環モデル実験の結果を用いて、対応する植生分布を0.5度格子の解像度で得ることが技術的には可能となった。 B02班で行われた、亜氷期と亜間氷期に対応する古気候再現実験を用いて、統計的ダウンスケーリング手法に基づき対応する植生の分布を得たが、既存研究で堆積物から復元された古植生情報との比較検証を行った結果、良好なモデル出力結果は得られなかった。大気海洋大循環モデル実験まで遡って原因を調査したところ、古気候再現実験設定に誤りがあることが判明したため、古気候再現実験は再実験することとなった。 本研究の結果は、中間的なものではあるが、交替劇プロジェクトの研究大会および国内の学会で発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ひとまず亜氷期と亜間氷期の植生分布を推定したところ、古植生情報との対応が悪い場合があった。結果が合致しない問題を実験担当者と協力して追及したところ、大気大循環モデル側の設定に不備があることが判明したため、この問題を解決することを優先した。本研究にとって大気海洋大循環モデルの結果は入力値であるため、これが正確であることは最優先で重要であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
問題が解決された大気海洋大循環モデルの古気候実験結果を用いて、高解像度の植生分布再現を行う。また、ここまでの結果を先行研究と照らすと、亜氷期亜間氷期間の植生変化によって気候に対する影響があることが見込まれる。したがって、大気海洋大循環モデルに植生変化の情報をフィードバックすることで、植生変化の影響も取り入れた古気候再現を行う。最終的には、その結果を用いた高解像度植生再現実験を行う。
|
Research Products
(3 results)