2013 Fiscal Year Annual Research Report
環状シロキサンを元素ブロックとしたハイブリッドネットワークポリマー薄膜の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
25102504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三ツ石 方也 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70333903)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ハイブリッド / ヒドロシリル化反応 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究では複数の官能基を有する環状シロキサンモノマーを元素ブロックとしたハイブリッドネットワークポリマー薄膜の作製を目的としている。薄膜作製を可能とするために、環状シロキサンモノマーを含む溶媒可溶なハイブリッドポリマーを合成し、そのポリマーを前駆体として製膜・多官能性ゆえの未反応部位を利用したハイブリッドネットワーク化によるハイブリッドネットワークポリマー薄膜の作製について検討した。 ハイブリッドネットワークポリマーの合成について、4つのSi-H基を有する環状シロキサン(1,3,5,7-tetramethlycyclotetrasiloxane)(TMCS)と二官能性ビニルモノマーとのヒドロシリル化反応を利用した逐次重合によりハイブリッドポリマーを合成した。薄膜形成可能なハイブリッドポリマーを得るための合成条件について、二種のモノマー混合比および溶液濃度の調整が重要であることをつきとめた。1H NMRや29Si NMR測定により、ハイブリッドポリマーが直鎖状を有していることが示唆された。ドクターブレード法により製膜、200℃以上での熱的架橋反応を利用することでハイブリッドネットワークポリマー薄膜を得た。得られた薄膜は、300℃近くの耐熱性を有し、可視光領域で90%以上の透過率を示す透明な薄膜であることを明らかにした。ヒドロシリル化反応を利用した環状シロキサンモノマーの逐次重合を制御し、溶媒可溶かつ架橋反応可能なハイブリッドポリマーを作製する条件、およびハイブリッドネットワークポリマー薄膜の作製に関する基礎的知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環状シロキサン化合物1,3,5,7-tetramethylcyclotetrasiloxane(TMCS)を元素ブロックとして、ヒドロシリル化反応を制御することで溶媒可溶なハイブリッドポリマーの作製方法を確立することができた。特に反応時の総モノマー濃度や二種類のモノマー混合比に注意することが重要であるということを実証することができた。この方法論をもとにドクターブレード法により薄膜を作製し、熱処理を行うことで未反応の官能基間の架橋反応によるネットワークポリマー薄膜が得られることを見出した。このことは、新たな架橋剤を使用せずともネットワーク化が可能であることを意味し、従来の架橋剤による化学的架橋以外の選択肢としてハイブリッドネットワークポリマーを得る方法になり得る。より多くの環状シロキサンモノマーへの応用が可能となり、研究展開が順調に進むものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
環状シロキサンモノマーは官能基だけでなく、元素ブロックとしての構造もハイブリッドネットワークポリマーの形成に影響を及ぼすことが予想される。4官能性環状シロキサンモノマーに対してだけでなく、2官能性モノマーの種類を変えていくことで、元素ブロック構造のプレポリマー形成への影響を明らかにすることができる。また、薄膜作製における架橋ネットワーク過程についても、熱架橋や化学的架橋の両方を検討することで、機能と構造関係の観点からハイブリッドネットワークポリマー薄膜の特徴を明らかにしたい。
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