2013 Fiscal Year Annual Research Report
パーヒドロポリシラザンを元素ブロックとする有機―無機複合材料創成
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
25102512
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 礼子 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30225742)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機‐無機複合材料 / ナノ構造制御 / シリカ / ブロック共重合体 / 熱伝導性 |
Research Abstract |
本研究では、SiH基とは反応せず、NH基と弱い相互作用を持つと考えられる置換型エポキシ基を高分子鎖内に有するポリマーとの複合化を行った。部分エポキシ化ポリスチレン-block-ポリブタジエン-block-ポリスチレン(E-SBS)とエポキシ基を持たないSBSを鋳型高分子として用い,PHPSと複合化する際の鋳型の効果を検討した。その結果、エポキシ基を有するE-SBSでは、ポリマーのミクロ相分離構造を反映した精密な相分離構造が発現するが、SBSでは、シリカがマクロ相分離しており、置換型エポキシ基が構造制御の発現因子となることがわかった。ポリマーとPHPSの混合物のNMR解析より、両者の混合によりPHPSのSiH基ピーク、およびE-SBSのエポキシ基のピークはシフトし、PHPSとE-SBSとの相互作用を示した。エポキシ基とNH基は相互作用することから、本系でもエポキシ基とNH基が相互作用し、その結果、隣接のSiH基がシフトしたと考えられる。 精密に構造を制御されたナノ構造体が得られたことから、複合体について、温度波による熱拡散率、密度、比熱を測定し、複合体の熱伝導率を決定した。その結果、実測値はポリマーの球状ドメインが形成される領域ではポリマーをフィラーとするMaxwell理論により、また、シリカが棒状~ラメラ状ドメインを形成する領域ではシリカをフィラーとするMacroscale theoryにより表わされることが明らかとなった。 PHPSを元素ブロックとした他の構造体形成見当のため、PHPS存在下の分散重合による複合型微粒子合成の予備実験を行った。その結果、アゾ系開始剤と複合化することで新規有機-無機アゾ開始剤を合成し、これを開始剤兼新規分散剤としてスチレン、またはメタクリル酸メチルの分散重合することで有機-シリカ複合微粒子を合成することができることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目的は熱伝導性の測定可能な複合体の合成であったが、種々のナノ構造の制御された複合体を合成することに成功し、シリカの体積分率を因子として熱伝導性の全体像を得る部分まで、進むことができた。 PHPSを元素ブロックとする他の複合体の合成方法の確立(微粒子合成)は、H26年度の目標であったが、H25年度に開始することができ、すでに直径100nmの単分散な粒径を有するシリカシェル型高分子微粒子の合成に成功した。 以上より、当初予定より進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度の結果より、高分子ブロック共重合体-シリカ複合体では、シリカ組成58%付近に構造の転移点が存在することが明らかとなった。よって、種々の組成を有する高分子を設計し、シリカ組成58%での複合体を作成し、ナノ構造と熱導電性の関係を解明する。特にラメラ構造において、高分子の分子量を制御することで、ラメラの厚みを変えることができることから、ナノ構造における界面の面積と熱伝導性の関係を解明する。 シリカ微粒子の合成では、マトリックスと有機モノマーとの溶解性、および、新規アゾ系開始剤、界面活性剤を因子として、微粒子の粒子径、および、サイズの分布を制御する。
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