2013 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素間π結合架橋[2]フェロセノファン類の創製と開環重合制御
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
25102519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹森 貴裕 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70362390)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | dーπ電子系 / [2]フェロセノファン / ジゲルメン / 開環重合 / 立体保護 / ゲルミレン |
Research Abstract |
新しい有機材料分子として期待されているdーπ電子系化合物のπ電子ユニットを高周期元素で置き換え、高周期典型元素π電子系を遷移金属原子のd電子系と組み合わせた化合物は、新規なd―π電子共役系化合物として注目されている。本研究課題では、14族元素の中でもゲルマニウムに注目し、Ge=Geユニット、あるいはGe=Geとフェロセンユニットをd―π電子系元素ブロックとしてとらえ、Ge=Ge二重結合とフェロセンを連結した新規d―π電子系の構築を目的とした。特に、ゲルマニウムの場合ではGe=Ge二重結合がゲルミレン(>Ge:)へと比較的開裂しやすい性質を利用し、Ge=Ge二重結合開裂を駆動力とした[2]フェロセノファンの開環重合制御により、単量体―高分子の制御可能な系を設計し、化合物合成を検討した。立体保護基として2,4,6-トリイソプロピルフェニル(Tip)基をゲルマニウム上に導入した系について、Ge=Ge架橋[2]フェロセノファンの発生を確認することができた。しかし、室温ではTip基が転位してしまい、ゲルミレン化合物となってしまうことがわかった。立体保護基をアリール基ではなく、アルキル基へ変更することで、安定な化合物としての単離を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的とする、高周期元素を含むd-π電子系化合物については、ジゲルメン(Ge=Ge)ユニットとフェロセンユニットを連結した新規化合物の合成を達成している。含高周期典型元素dーπ電子系についての基礎的知見はかなり蓄積してきたと考えている。 また、開環重合を指向したGe=Ge架橋[2]フェロセノファン誘導体についても、その発生を確認するに至っており、また合成上の問題点はアリール基の転位であることも各種実験により明確にしている。今後の研究展開により目的化合物が合成できるための基盤となる知見は十分に得られており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
目的とするdーπ電子系のうち、ゲルマニウムを含むπ結合の安定化には立体保護基が必須である。この立体保護基に2,4,6-トリイソプロピルフェニル基というアリール基を用いたために、Ge=Ge部位での置換基転位が起こり、安定なゲルマニウム二価化学種が生じる結果となった。この事実は各種捕捉実験により確認している。そこで今後は立体保護基として嵩高いアルキル基(トリプチシル基やトリス(トリメチルシリル)メチル基など)を用いれば、同様の反応条件で、目的化合物の合成を達成することが出来ると考えている。 目的とするGe=Ge架橋[2]フェロセノファンを合成し、その開環重合の条件を模索する(光・熱反応)。また、高分子ー単量体の相互変換についても検討を行う。
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Research Products
(16 results)