2013 Fiscal Year Annual Research Report
金属間多重結合含有クラスターを元素ブロックとしたレドックス活性高分子材料の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
25102526
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
劔 隼人 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60432514)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属間多重結合 / ラジカル反応 / 炭素-ハロゲン結合切断 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の遷移金属を含む多核金属錯体は、金属同士が近傍に配置されていることから単核金属錯体とは異なる特異な反応性を示すことが知られており、興味深い元素ブロック群の一つである。われわれは多核金属錯体を基盤とした反応開発を進めており、特に金属間結合を含む多核錯体を中心とした新しい元素ブロックの合成と複数の金属の近接効果を利用した触媒反応開発をターゲットとして研究を展開している。 可逆的な1電子酸化還元がスムーズに進行する触媒候補として、ベンゾエート配位子、アミジネート配位子、もしくはグアニジネート配位子を有するモリブデン二核クラスター分子を用いたところ、配位子の電子供与性によりラジカル付加反応とラジカル重合反応の制御が可能であることをこれまでに報告した。さらに、アキシアル位が示すルイス酸部位を利用することで、二つの特性を最大限に活用した連続反応に応用できることがわかった。すなわち、α-ハロカルボニル化合物の脱ハロゲン化反応において、還元剤としてビス(トリメチルシリル)ジアザシクロヘキサジエン誘導体を添加することで、BTDPがMe3Si源として作用し、脱ハロゲン化―シリル化反応であるシリルエノラート化合物が高収率で得られた。また、アキシアル位のルイス酸性を用いてベンズアルデヒドを添加することにより、ルイス酸触媒反応である向山アルドール反応が進行することを見出した。このように、金属間に多重結合を有する金属クラスター錯体の触媒反応に対する有用性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初に見出していたラジカル反応に対する特性に加え、ルイス酸触媒反応に対する反応性も明らかにすることに成功し、様々な触媒反応へ展開しつつある。また、クラスター分子ならではの酸化還元特性とルイス酸性の両面性を活かした研究成果は、ルイス酸性を利用した配位高分子化につながる知見であり、今後のクラスター触媒の複合化に向けて研究を展開可能であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
金属間に多重結合を有する6族遷移金属のパドルホイール型二核錯体は、四つの架橋配位子を様々に変更することで二核金属コアの酸化還元電位を広範囲の電位幅で制御可能であることに加えて、アキシアル位をルイス酸部位として触媒反応に利用できることから、「bifunctional catalyst」として作用する金属元素ブロックの一つである。そこで、ルイス酸性を利用した配位高分子化と触媒特製の発現、に向けた研究を推進する。
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Research Products
(3 results)