2013 Fiscal Year Annual Research Report
金属タンパク質と金属ナノ粒子の階層化によるハイブリッド界面の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
25102527
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野田 晃 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60366424)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属タンパク質 / 金属ナノ粒子 / ハイブリッド界面 / バイオデバイス / バイオ電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子移動・触媒・センサー機能を有する金属タンパク質と多様な物性を持つ金属・半導体ナノ粒子のそれぞれを機能性の元素ブロックととらえ、生体分子の精密な分子間相互作用を活用して、金属タンパク質と金属ナノ粒子を階層化したハイブリッド型ナノ界面を電極基板上に構築した。まず、安定性および量子収率に優れた半導体ナノ粒子を表面修飾することにより、ヘムタンパク質との複合化による触媒系を構築した。ヘムタンパク質としてミオグロビン(Mb)、半導体ナノ粒子としてCdTeナノ粒子(CdTe QD)を選択し、複合体の構築を行った。複合体におけるCdTe QDからMbへの電子移動反応および複合化後のヘムタンパク質機能について検証した。光還元によるMbの機能化について検証したところ、CO雰囲気下において可視光照射した際に、Fe(III)のmet-Mbは一電子還元を受けてFe(II)-CO錯体のCO-Mbに変換されることを明らかにした。ヘムタンパク質であるMbの機能を保持した状態でタンパク質への電子移動反応を高効率化したQD複合体の構築に成功した。次に、電極上に固定した補酵素等の酸化還元中心に対しアポタンパク質を再構成することにより、酵素と電極間の効率的な電気伝導が可能となるバイオデバイスを作製した。より効率的な系の構築をめざし、化学修飾が容易な導電性ポリチオフェン膜を介して酵素の酸化還元中心と電極が接触した系を構築した。ポリチオフェン誘導体へのヘム修飾、続くアポタンパク質の再構成により修飾電極を作製し、電極特性を評価した。西洋わさびペルオキシダーゼ (HRP)のホロ体をランダムな配向で共有結合的に固定化した電極に対して触媒電流が約3.3倍に増加しており、ヘム-ヘムポケット間の相互作用を活用した本系におけるHRPの固定化方法の優位性が明かとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘムタンパク質と金属ナノ粒子のハイブリッド材料の調製と物性評価を、計画にしたがって進めることができた。具体的には、安定性および量子収率に優れた半導体ナノ粒子を表面修飾することにより、ヘムタンパク質との複合化による触媒系を構築した。ヘムタンパク質としてミオグロビンと、半導体ナノ粒子としてCdTeナノ粒子から構成される複合体の構築、さらに、この複合体における電子移動反応およびヘムタンパク質機能について検証し、光照射下においてミオグロビンへの効率的な電子移動が進むことを明らかにしており、概ね順調に研究が進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ヘムタンパク質と金属ナノ粒子の異種元素ブロックの構築と機能解析を実施した。今後は、このようなハイブリッド複合体を電極界面において構築することを重点的に進めたい。具体的には、ヘム-タンパク質マトリクスの相互作用によりヘムタンパク質と金ナノ粒子や半導体ナノ粒子が固定化されたバイオ電極を作製する。 電極界面にジチオールの単分子膜を作製後に、金ナノ粒子を固定化、さらに金ナノ粒子で確立した調製方法を参考に、ナノ粒子の表面は保護材(リポ酸やメルカプトプロピオン酸等)で修飾するとともに、ヘムをチオール基を介して固定化後に、金ナノ粒子とのハイブリッド界面を作製する。電子伝達(シトクローム b562 )、酸素結合(ミオグロビン)のアポ体を添加し、電極表面でのタンパク質再構成により固定化したヘムタンパク質と金ナノ粒子のハイブリッド修飾電極の電気化学的特性、電極触媒としての機能評価を実施する。
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