2013 Fiscal Year Annual Research Report
デンドリマー型元素ブロック高分子の構築と機能探索
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
25102536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小嵜 正敏 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10295678)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 元素ブロック / 高分子合成 / デンドリマー / クリック反応 / ナノ材料 |
Research Abstract |
簡便な末端官能基変換と代表的なクリック反応である CuAAC 反応をくり返すことで単一のデンドリマーから高分子量精密集積体を効率的かつ高収率で構築する手法を開発することに成功した。最初に、共役鎖内包型デンドリマー D1 (MW = 3,936) を合成した。続いて D1 を二分し、それぞれ片側末端基のみ CuAAC 反応に活性なアジド基およびエチニル基に高収率で変換することで、デンドリマー D1A 、 D1E をそれぞれ得た。得られた D1A と D1E を用いて CuAAC 反応を行うことで、デンドリマー二量体 D2 (MW = 7,762) を高収率で得ることに成功した。さらに、同様の官能基変換と CuAAC 反応を繰り返し行うことで、デンドリマー二量体から四量体 D4 (MW = 15,414) を、さらに四量体から八量体 D8 (MW = 30,719) を効率的かつ高収率で得ることに成功した。これらの研究成果は、デンドリマー型元素ブロック高分子を構築するための汎用性の高い効率的な方法を提供するものである。また、 CuAAC 反応がナノスケール元素ブロック高分子の構築に対して極めて有用な手法であることを実証した。 デンドリマー単量体および集積体のUV-visスペクトルを測定したところ、単量体と集積体は異なるスペクトルを与えた。単量体のスペクトルは、同程度の鎖長をもつオリゴ(フェニレンーエチニレン)(OPE)の溶液スペクトルとよく一致したが、集積体のスペクトルは OPE がランダム配向した会合体の吸収と一致した。蛍光スペクトルにおいても集積体のスペクトルは OPE 会合体のスペクトルと一致した。さらに、吸収スペクトル形状の溶液濃度依存性はいずれの集積体においても無視できる程度しかなかった。これらの結果は、集積体は溶液中において折りたたみ型構造を取ることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに多くの元素を含む多様な構造のデンドリマーが報告されており、デンドリマーは大変魅力的な元素ブロックである。本研究の目的は、このデンドリマーの効率的で汎用性の高い集積法を確立して、革新的な機能を持つ高分子を構築することである。本年度の研究成果により、元素ブロックとして魅力的な共役鎖内包型デンドリマーどうしをクリック反応を利用して効率的に結合して多様な構造の集積体を構築することが可能となった。クリック反応は多くの官能基の存在下においても効率的に進行し、高収率で生成物を与える。したがって、開発に成功した元素ブロック集積法は、高い汎用性を有している優れた方法である。次年度からこの技術をさらに発展、改良してゆくことで目的とする高機能性高分子の構築を進めることができる。すなわち、本年度は次年度以降の研究展開のカギとなる基礎技術の確立を達成した。また、分子の合成のみならず、巨大分子の分離、精製法、構造評価法に関しても多くの経験と技術の蓄積を行うことができた。これらの成果は、今後の機能性分子の開発に直接応用することができる貴重なものである。 また、デンドリマー集積体が、溶液中において折りたたみ型の高次構造をとることがあきらかになった。さらに、集積体の高次構造が溶媒極性や温度によって変化することも分かった。高次構造変化は、それぞれのデンドリマーに内包される機能性部位の間の相互作用と密接に関係している。そのため、この高次構造変化を利用して、外部刺激に反応して、機能が変化する刺激応答型の高分子を得ることができる。このような高分子の開発は、まさに研究計画で提案したものであり、実際に高次構造変化が起きることを実証できたことは、この研究の目標達成への大きな一歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
我々がこれまで構築した光捕集機能や電荷分離機能を持つ共役鎖内包型デンドリマーは大変魅力的な高機能元素ブロックである。今後、これらの元素ブロックを戦略的に組み合わせて高分子化することで、優れた光捕集特性や光電変換特性を持つ元素ブロック高分子を構築する。柔軟な結合部を持つデンドリマー集積体では高次構造変化によって分岐鎖間の距離や相互作用の大きさが変化する。この特性を利用して、外部環境変化に反応して機能が変化する光捕集アンテナを開発する。 最初に、アンテナ色素を結合したデンドリマー型元素ブロックを複数構築する。次に、これらデンドリマーをクリック反応によって集積し、柔軟な結合部を持つデンドリマー集積体を構築する。この時、周辺部を形成するデンドリマーのアンテナ色素よりも励起エネルギーの小さなアンテナ色素を持つデンドリマーを集積体の中心に導入する。長距離の励起エネルギー移動を効率的に行うためには、周辺部から中心部に向けて順次励起エネルギーが小さくなるように色素やアンテナを精密配列することが鍵となることがこれまでの研究で分かっている。柔軟な結合部を有するデンドリマー集積体は溶媒極性変化を敏感に感じ取り、折りたたみ型と直線型の間で高次構造を変化させることが期待できる。折りたたみ型では周辺部から中心部へと段階的に小さくなる励起エネルギー勾配が形成される。そのため、中心部に励起エネルギーが集まりやすい。もちろん、周辺色素と中心色素の距離が小さくなる影響も大きい。一方、直線型では中心に励起エネルギーが集まりにくい配列となる。各種分光学的手法を用いて、外部環境変化に応じて集積体の光捕集能力が大きく変化することを実証する。
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Research Products
(43 results)
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[Journal Article] Preparation and Magnetic Properties of Metal-Complexes from N-t-Butyl-N-oxidanyl-2-amino-(nitronyl nitroxide)2014
Author(s)
Furui, T.; Suzuki, S.; Kozaki, M.; Shiomi, D.; Sato, K.; Takui, T.; Okada, K.; Tretyakov, E. V.; Tolstikov, S. E.; Romanenko, G. V.; Ovcharenko V. I.
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Journal Title
Inorg. Chem.
Volume: 53
Pages: 802-809
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Syntheses and Structures of Mono- and Bi-nuclear Copper(I) Acetylide Complexes with Highly Luminescent Properties2013
Author(s)
Kambara, R.; Horikoshi, T.; Suzuki, S.; Kozaki, M.; Ueno, M.; Ishiyama, Y.; Naruse, D.; Iwamura, M.; Nozaki, K.; Okada, K.
Organizer
15th International Symposium on Novel Aromatic Compounds
Place of Presentation
Taipei, Taiwan
Year and Date
20130728-20130802
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