2013 Fiscal Year Annual Research Report
溶質元素添加による微細結晶粒マグネシウム合金の粒界塑性変形応答
Publicly Offered Research
Project Area | Bulk Nanostructured Metals -New Metallurgy of Novel Structural Materials |
Project/Area Number |
25102712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
染川 英俊 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主任研究員 (50391222)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 材料工学 / マグネシウム / 粒界すべり / 粒界塑性 / 溶質元素 |
Research Abstract |
本研究では、二元系マグネシウム合金を用いて、溶質元素添加にともなう粒界塑性応答の変化について調査し、マグネシウム合金の延性改善に効果的な溶質元素選択の指針を明示することを最終目標としている。本年度では、以下の点が主な成果として挙げられる。 (i)五種類のマグネシウム二元合金(Mg-Ag, -Al, -Li, -Y, -Zn)を、重力鋳造により溶製し、溶体化処理後、温間押出加工により創製した。各合金の内部組織は、押出加工後、熱処理により調整した。SEM/EBSDおよびTEMを用いた初期組織観察から、各合金は、約10 μm程度の平均結晶粒サイズを有し、底面集合組織を形成するとともに、溶質元素が結晶粒界に偏析していることを確認した。 (ii)粒界塑性変形は、内部摩擦試験および高温引張試験により評価した。内部摩擦試験から得られる損失係数は、粒界すべりの発生に起因し、ある温度で急激に増加することを明らかにした。また、損失係数の変化(上昇)温度は、添加した溶質元素に影響を受け、Mg-Liは低温域、Mg-Yは高温域で起こることがわかった。引張試験でも同様の傾向が見られ、ひずみ速度感受性指数(m値)は、溶質元素の種類によって大きく変化し、Li添加はm値を増加、Y添加は低下させる働きがあることを確認した。 (iii)SEM/EBSDなどを用いた引張試験後の変形組織(表面形態)観察から、粒界すべりの発生を確認した。一方、粒界すべり量(変位)は、ひずみ付与にともない大きくなるが、その変位は、結晶粒界によって異なる傾向にあり、粒界構造の違いが、粒界すべりに影響を及ぼす要因の一つであることを明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画(本年度)では、内部微細組織の調整が困難であることを想定し、試料創製に注力することを予定していた。しかし、マグネシウム合金展伸材創製に関する過去の知見を活かし、微細組織に差異のない試料を予定より早く準備することができたため、次年度に予定していた詳細な変形組織観察を実施し、粒界塑性変形に影響を及ぼす関連因子を見出すことができた。以上のことから、「当初の計画以上に推進」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目標を達成するために、純マグネシウムと粗大粒二元系合金の粒界塑性変形応答を調査し、溶質元素の効果と結晶粒界の役割を明確にする必要がある。評価法は、本年度と同様に内部摩擦試験と高温引張試験を使用する。試料創製に関して、本年度用いた微細粒材を高温・長時間熱処理することで、結晶粒サイズ:100 μm以上からなる粗大粒二元系合金を準備する。純マグネシウム微細粒材および粗大粒材は、温間押出加工と熱処理によって創製することとする。 なお、次年度が当該研究最終年度であるため、研究総括および成果発信に心掛ける。
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Research Products
(3 results)