2013 Fiscal Year Annual Research Report
強い重力場での修正重力理論の検証に向けた理論的研究
Publicly Offered Research
Project Area | New development in astrophysics through multimessenger observations of gravitational wave sources |
Project/Area Number |
25103505
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須山 輝明 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20456198)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 修正重力理論 / ブラックホール摂動論 |
Research Abstract |
重力場・スカラー場ともに波動方程式が高々二階微分までしか含まない最も一般的なスカラー・テンソル理論として知られるホルンデスキー理論の枠組みで、ブラックホール摂動論を展開した。平成25年度の研究では、偶パリティモードに着目し、ホルンデスキー作用を摂動変数の二次まで展開した後、補助変数を消去し、力学変数のみを含む最終的な二次作用を導出した。得られた二次作用から、高々摂動変数の一階微分までしか含まないこと、即ちホルンデスキー理論の性質から予想される通り摂動方程式は二階の微分方程式となっていること、力学的自由度はスカラー波と重力波の二つであることが分かった。一般相対性理論の極限では、スカラー波の自由度が消滅し、摂動方程式が良く知られたZerilli方程式に帰着することも確認した。また、得られた二次作用にもとづいて、理論が安定であるための必要条件である無ゴースト条件・無勾配不安定条件の一般的な表式を与え、スカラー波と重力波の伝搬速度の一般公式を与えた。一般の修正重力理論では、波の伝搬速度は光速とは異なり、スカラー波と重力波の伝搬速度も異なることを示した。しかし、偶パリティモードの重力波と奇パリティモードの重力波の伝搬速度はホルンデスキー理論に含まれる理論であれば、どの理論でも一致することも分かった。これらの研究成果を、一つの論文としてまとめ、Physical Review D誌に三月に投稿し、無事受理された。論文情報は以下の通りである。 ``Black hole perturbation in the most general scalar-tensor theory with second-order field equations. II. The even-parity sector'' Phys.RevD.89, 084042 (2014), Tsutomu Kobayashi, Hayato Motohashi and Teruaki Suyama
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究目標は、「研究実績の概要」で述べたとおり、ホルンデスキー理論における偶パリティ摂動の一般的な定式化を展開することであった。その定式化に成功し、論文発表にまで至ることができたため、おおむねの研究目標が達成されたと判断し、区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、平成26年度はパリティを破る重力理論の一つであるチャーン・サイモン理論における回転ブラックホール解の構成を目指す。
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