2013 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体/超伝導体接合におけるスピントロニクス
Publicly Offered Research
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
25103709
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 毅人 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (30578216)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超伝導 |
Research Abstract |
シリコン1層からなる系であるシリセンにおいて、超伝導近接効果を調べた。金属/超伝導シリセン接合におけるコンダクタンスを調べ、超伝導/金属/超伝導シリセン接合において非局所コンダクタンスおよびジョセフソン効果を調べた。シリセンの格子構造に起因して外場によってアンドレーエフ反射を制御できることが分かった。特に完全にスピン‐バレー偏極した非局所アンドレーエフ反射を発見した。この系におけるジョセフソン効果がゲートによって制御可能であることも明らかにした。 さらに、シリセンに強磁性体を接合した系におけるバレー輸送及びスピン輸送を調べた。バレーとスピン自由度の結合の結果、電流はバレー偏極及びスピン偏極しており、ゲート電極により制御できることがわかった。特に、外部電場により完全バレー偏極及び完全スピン偏極した電流が生成可能であることが分かった。完全バレー偏極及び完全スピン偏極電流生成の条件も明らかにした。また、スピンコンダクタンスおよびバレーコンダクタンスは強磁性領域の長さの関数をして振動することが分かった。 近年発見されたトポロジカル絶縁体は従来知られているバンド絶縁体とトポロジカルな意味で異なる状態として注目を集めている。その特徴は時間反転対称性を破らない摂動に対してロバストな表面状態の存在であり、表面の電子は低エネルギーでDirac方程式に従うことが知られている。Dirac方程式に従う電子の運動量とスピンは結合しておりスピントロニクスへの応用が期待されている。 本研究では強磁性体とトポロジカル絶縁体を接合した系における電流誘起スピン拡散を調べた。強磁性体中のスピン密度とトポロジカル絶縁体の電荷密度の結合した拡散方程式を導出し、それを解くことでスピン蓄積と磁気抵抗を明らかにした。 トポロジカル絶縁体の表面電子のスピン構造に起因して強磁性体中のスピン拡散は磁化の向きに依存することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリセンにおける新奇な超伝導近接効果を明らかにできた。強磁性体とトポロジカル絶縁体を接合した系における新しい拡散方程式の導出に成功し、新しい知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
強磁性体/超伝導体接合において強磁性体に電場を印加した場合にトリプレットクーパー対が磁化にどのようにトルクを与えるかを調べる。Gor’kov方程式を解き、Keldysh Green関数法を用いて磁化のダンピングを決めるGilbertダンピング係数を計算する。また、電流誘起スピン偏極も調べこれにより磁化に働くトルクも計算する。さらにOnsagerの相反定理により磁化のダイナミクスにより誘起された電流も調べる。磁化の従う運動方程式であるLandau-Lifshitz-Gilbert方程式に電流誘起スピントルクを取り入れ、トリプレットクーパー対により磁化のダイナミクスがどのように影響を受けるか明らかにする。
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