2013 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム表面で生体分子をセンスする双頭核酸ヘッド型両親媒性分子の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
25104505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄田 耕一郎 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (00401216)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アミダイトユニット / 収率改善 / 反応性確認 / 双頭型両親媒性分子 |
Research Abstract |
平成25年度は『双頭核酸ヘッド型両親媒性分子』の化学合成のためのアミダイトユニットの合成が課題であった。目的分子の高脂溶性部分の化学構造は、中央の剛直な脂質部分:1,6-ジアミノ-2,4-ヘキサジインに対し、2つのコレン酸がアミド結合した直線状の分子である。この剛直脂質の類縁体は、すでに報告例があり、①リポソーム膜に対して垂直に配向すること、②2つの剛直分子がリポソーム膜上でside-by-sideに接近可能であること、が示されている。 1,6-ジアミノ-2,4-ヘキサジインの合成は、既存の方法では収率が低かったが、反応条件を検討することで収率を向上できた。トータルの合成収率向上のため、保護基の選択、脱保護条件の検討を行い、従来理論上は33%が最高収率であったステップを、収率62%まで高めることに成功した。目的のアミダイトユニットまでの最終的なトータルイールドは24%、各ステップの平均収率は75%であった。 得られた合成中間体を用いて、DNA固相合成における各種反応条件に対する安定性を調べた。その結果、①酸処理条件、②濃アンモニア条件いずれにおいても、分解は起こらないことがわかった。 現在は、得られたアミダイトユニットを、DNA固相合成に適用し、最終目的物の双頭核酸ヘッド型両親媒性分子の合成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
双頭核酸ヘッド型両親媒性分子用のアミダイトユニットの合成という初年度の目標が達成できたから。また、得られた化合物が、双頭核酸ヘッド型両親媒性分子合成に必須のDNA固相合成の各種条件下で安定であることが示せたから。 もし初年度に双頭核酸ヘッド型両親媒性分子を合成できていれば、当初の予定以上に進展していると報告できた。しかしそれは叶わなかったので2年目の課題として引き継いだ。すでにDNA固相合成機を保有するDNA受託合成企業とディスカッションを重ね、合成の見積もりもとってある。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに研究が進展しているので、2年目も計画通りに研究を進める。具体的には、①双頭核酸ヘッド型両親媒性分子の合成、②双頭核酸ヘッド型両親媒性分子のGUV(巨大一枚膜ベシクル)上への組み込み、③双頭核酸ヘッド型両親媒性分子のセンシング活性の評価である。 双頭核酸ヘッド型両親媒性分子は、高い塩濃度のバッファー中で調製し、脂質二分子膜を貫通する配向で存在する必要がある。既存の方法ではその条件で望みの配向を実現することはできない。そこでGUV調製法は、申請者が独自に開発したPSGH法という脂質薄膜水和法をベースとする方法で行う。この方法は、あらかじめ二分子膜を作成してからGUVを作る方法であるため、双頭核酸ヘッド型両親媒性分子は二分子膜を貫通する配向を取りやすい。またこの方法では高い塩濃度でGUVを効率よく調整することが可能である。 センシング活性の評価は、オリゴ核酸の鎖置換反応とFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)をカップルさせた方法で行う予定である。鎖置換反応およびFRETともに、申請者メインフィールドである分子コンピューティング分野で汎用されるテクノロジーであり、申請者もその性質やハンドリングに習熟しているので、問題が起きても速やかに解決可能であると考えられる。
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