2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体内シグナルを応用したアメーバ型自律運動制御系の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
25104508
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤井 哲 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20500367)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体機能利用 / 生物物理 / 自己組織化 / 細胞・組織 / 脂質 |
Research Abstract |
本研究が目的とする自律的かつ動的な脂質シグナルを発振する膜系に必要な手法の確立のため、PIP2,PIP3のリン酸化反応を触媒するPI3キナーゼや、PIP3の脱リン酸化反応を触媒するフォフアターゼPTENをアフィニティー精製し、合成された1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリンやPIP2, ホPIP3などの脂質への結合としてその活性を評価した。PVDF膜にPOPC, PI(4,5)P2, PI(3,4,5)P3をスポットさせ、anti-mouse-IgG-HRP抗体による化学発光検出を行った。PH-domain-RFPが結合した脂質スポットはシグナルが検出され,精製したPH-domainのPI(3,4,5)P3への結合を確かめた。また、Phosphatidylcholine (PC)、Phosphatidylserine (PS)、PIP2、PIP3からなるliposome懸濁液を調製し、精製タンパク質を添加後、共焦点顕微鏡にて観察したところ、精製したPH-domainのリポソーム表面への結合も確認できた。ドットブロット分析の結果からPHドメインの種類によっては、PIP3へより強く結合することも示された。また、リポソームアッセイにおいても、これらPHドメイン融合蛋白がPI(4,5)P2、PI(3,4,5)P3を含むリポソームに結合することを確認した。これらの手法をもとに、複合的なドメイン構造を有したプローブを組み合わせた人工回路のため、必要なベクター構築の設計と作成を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回精製したタンパクは、脂質と期待している通りの相互作用を示しており、計画している材料の調整手法の確立とその特徴づけが進展していると自己評価する。一方で、我々のドットブロット分析と、リポソームアッセイにでは、結果について若干の齟齬も認められるため、精製純度のさらなる向上と、精度の高い結合解離の定量化が必要である。これらの技術的な点は当初から予想されていたものであり、知見のさらなる積み重ねとこれらの作業に不可欠な測定装置の整備が今後必要と考えている。また、自律的な反応系を実現するための融合タンパク系の構築は、今回の結果をベースとして作成するものであるが、試行錯誤する面も多く、時間と手間を要するため、作業の効率化などを工夫した。
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Strategy for Future Research Activity |
年度の前半の早い段階で、赤外を基本としたタンパク質定量のための装置を導入する。これによって、タンパクの精製と開発をスピードアップさせる。また、フィードバック制御による自律的なPIP3産生が生じるように系については、手と時間を要する材料開発については、一部他研究で作成した材料を再利用し、一部の作業のオートメーション化により効率化する。当初予定では、光によるPI3Kの操作によって、PIP3の時空間ダイナミクスを操作できるベジクル系も目指しており、生細胞内ではこれについての条件検討もできてきているところではあるが、自律的な反応回路の開発を優先させるなかで、時間的配分を考慮し、難しい場合は内部に組み込む反応系の組成をさらに工夫することで、反応ダイナミクスそのものをチューニングすることで一部対応できるようにする。
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[Journal Article] Phosphorylation of chemoattractant receptors regulates chemotaxis, actin reorganization and signal relay.2013
Author(s)
Brzostowski, J. A., Sawai, S., Rozov, O., Liao, X., Imoto, D., Parent, C. A., Kimmel. A. R.
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Journal Title
J. Cell. Sci.
Volume: 126(20)
Pages: 4614-4626
DOI
Peer Reviewed
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