2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子ロボットの骨格となるナノ構造体の開発と高機能化
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
25104512
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
池田 将 岐阜大学, 工学部, 准教授 (20432867)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己組織化 / ナノ材料 / 化学反応 |
Research Abstract |
本研究では、化学反応性部位を導入した自己集合性分子の形成する「ナノ構造体」と「酵素」を組み合わせることで「標的分子(例えば病気の指標となるバイオマーカー)に対してデジタル回路型(AND, OR等)に論理応答する 分子システム材料」を創成することを目的とする。小さな分子が超分子化学的な弱い相互作用で自発的に集まる ことで得られるナノ構造体は、本新学術領域研究で開発を進める分子ロボットの骨格として利用できる可能性がある。 申請者らは、これまでに化学反応性部位を修飾したペプチド誘導体が水中でナノファイバーネットワークを形成し、さらに特定の化学反応によりそのナノファイバーが消失することを見出した。例えば、酸化反応に応答するナノファイバーネットワークは特定の酸化剤に応答して消失した。さらに、酵素反応と組み合わせることによって、ナノファイバーが様々な生体分子に応答して消失することを見出し、「応答刺激の拡張」が可能であることを示した。本手法は一般化可能であり、還元反応に応答するナノファイバーの開発とその応答刺激の拡張にも成功した。また、これら2種類の化学反応性ナノ構造体を混合し、病気の指標となるバイオマーカーとなり得る生体分子に対してデジタル回路型(AND, OR等)に論理応答する 分子システム材料に繋げることが可能であることを実証した。現在は、これらのナノ構造体を脂質リポソームに封入し、刺激応答性ナノ構造体を骨格とするマイクロ構造体が、アメーバ型の分子ロボットとして機能することを実証することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたナノ構造体の開発に予定より早く成功した。また、酸化反応や還元反応に応答するナノ構造体と酵素を混合することでデジタル回路のように論理応答する構造体の創製に成功した。さらに、新学術領域会議の議論や検討を踏まえた分子ロボット開発に適した新しい分子デザインとその機能発現に関しても目処がたった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに分子ロボットを高機能化するための骨格となる刺激応答性ナノ構造体の開発に成功した。そこで、今後は刺激応答性ナノ構造体の高機能化などを進めると同時に、それらのナノ構造体をを組み込んだ分子ロボットの開発を進める。とくに本新学術領域にはリポソームの作製に関する専門家が参画しているので、積極的に共同研究を進め、開発した刺激応答性ナノ構造体をリポソームに組み込むことを予定している。人工の刺激応答性ナノ構造体の存在がリポソームの形態変化に与える影響や刺激応答性あるいは運動特性などを評価していく予定である。
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