2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマター物理による非対称ミクロゲルの創成と制御
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
25104522
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
柳澤 実穂 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50555802)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミクロゲル / パターン形成 / 自己組織化 / 相分離 / 濡れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外部刺激や内部での化学反応に応じて自律的に動くミクロゲルを創出することを目的としている。本目的のために、平成25年度はミクロゲルの大きさ、形、物性をソフトマター物理の観点から制御する新規手法の確立を目指した。マイクロメートルの大きさをもつミクロ液滴(脂質単分子膜で覆われたWOエマルション)として高分子混合溶液を油中に分散させ、高分子の水性二相分離と脂質膜界面への濡れ、ゲル化を制御することによって、ミクロな高分子ゲルの形を制御する手法を確立した。ゲル化する高分子が脂質膜と強く引きあう完全濡れ系では、ゲルカプセルが自発的に形成され、カプセル厚は相分離とゲル化の速度差を利用して制御することができた。またゲル化する高分子に富む相が脂質膜へ部分的に吸着する部分濡れ系では、相分離とゲル化の速度差に応じて、三日月形や円盤形、星形など、非球対称の様々な形を備えたミクロゲルを形成することができた。さらに、ゲルの局所的な形と弾性率が相関しているという示唆も得られた。このことから、ゲルの形と物性を関連付けながら制御する道筋も見えてきた。以上の主な研究成果は、科学専門誌として世界トップクラスであるPNASに掲載され、その内容は新聞や科学雑誌、TV番組などで紹介されるなど、市民へ広くアピールすることができた。平成26年度は、実際に動くミクロゲルを創出することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクロ液滴に閉じ込められた高分子の相分離と界面濡れ、ゲル化の結合によるミクロゲルの形態制御法を確立した。本実験では、温度低下に応じて相分離とゲル化を示す高分子混合溶液として、ゼラチン・ポリエチレングリコール・水からなる三成分系を用いているが、上記の手法は相転移現象を用いたものであり、それゆえ本質的には物質に限定されない。実際に、ゼラチンをDNAゲルに置き換えた実験系に対しても、本手法が適応できることを確認している。それゆえ、平成25年度の目標は達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、以下2つの案から自立的に動くミクロゲルを創出することを目指す。(1)平成25年度に得られた示唆である、ゲルの局所的な形と弾性率の相関関係を実験的に明らかにする。得られた結果をもとに、空間的に形と弾性率が異なるミクロゲルを作成し、外部刺激によって体積変化を繰り返し引き起こすことで動くゲルを創出する。(2)DNAゲルを用いて、化学反応に応じたDNAの分離と凝集の繰り返しによって動くミクロゲルを創出する。
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Research Products
(10 results)