2013 Fiscal Year Annual Research Report
金属・磁性量子井戸ヘテロ構造における表面プラズモンと磁気光学の融合
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
25104708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 裕章 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80397752)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子井戸 / 希薄磁性半導体 / ZnCoO / 磁気光学 / 表面プラズモン / 紫外域 |
Research Abstract |
本研究では、金属ナノ構造と磁性量子井戸から成るヘテロ構造を利用して、表面プラズモンと磁気光学特性との光相互作用を利用して、低次元効果に基づいた巨大な磁気光学効果を実現することを目標とする。平成25年度は、磁性量子井戸に適用するZnCoO混晶薄膜の基本的な磁気光学特性の解明を主眼とした。更に、表面プラズモン励起を可能とする金属ナノ構造体の理論的考察を実施した。 Zn1-xCoxO薄膜はパルスレーザー堆積(PLD)法を用いて作製した。得られた試料は、X線回折から結晶性評価を行い、電子線プローブマイクロアナライザー(EDX)を用いて組成比を同定した。また、ZnO内のCo原子は、2+の価数をもって4配位のZnサイトを占有していることを光電子分光(XPS)から明らかにした。更に、Zn1-xCoxOはCo濃度の増大と伴に、バンドギャップが徐々に大きくなり、Zn1-xCoxOがZnOよりもワイドバンドギャップ半導体となり、量子井戸内の障壁層として機能することを確認した。Zn1-xCoxOにおける磁気光学特性は、磁気円二色性分光(MCD)から明らかにした。ZnOへのCo添加は、大きな磁気光学効果を発現し、10%でのCo濃度で最大の磁気光学特性を示した。一方、10%以上のCo濃度域では磁気光学効果は小さくなる。それは、ZnO母体内でCo-Coのクラスター形成が一つ原因として考慮される。一方、金属ナノ構造体からの表面プラズモン共鳴に関して、長波長近似を取り入れたナノディスク計算から理論的に予測した。候補の金属材料として、白金 (Pt)、アルミ二ウム(Al)及びパラジウム(Pd)が挙げた。理論計算の結果として、アルミ二ウムから成る金属ナノドット構造体が紫外域(330-350nm)における表面プラズモン増強に適することが分かった。現在、金属ナノドットの微細加工を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、磁性量子井戸構造における中核材料であるZn1-xCoxOの基礎的な磁気光学特性の評価、及び紫外域でプラズモン共鳴励起が可能な金属ナノ構造体の理論的予測を目標とした。最初の課題であるZn1-xCoxOにおける磁気光学特性の理解は、系統的にCo濃度が異なる良質な薄膜試料の作製によって達成された。特に、磁気光学特性がCo濃度に強く依存し、最大の磁気光学機能を示す最適なCo濃度の存在を見出した。この結果は、来年度に実施するZnCoO/ZnO磁性量子井戸構造の形成に対する予備的知見として重要となる。更に、Zn1-xCoxOがCo濃度と伴にバンドギャップエネルギーが増加し、ZnOよりもワイドギャップ半導体となりZn1-xCoxOが量子障壁層として機能することを示唆する。故に、Zn1-xCoxOに関する今年度の研究進達度は十分であると判断できる。一方、紫外域で表面プラズモン共鳴励起が可能な材料とし理論的な観点から考察し、アルミ二ウム金属が有望であることを特定し、磁性量子井戸内の磁気光学機能への融合を考慮した祭、最適なナノドットサイズは150 nm程度あることを見出した。現在、金属ナノ加工を実施している。従って、2番目の研究課題も順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、紫外共鳴プラズモン励起が可能な金属ナノ構造体の作製とその評価、及び金属・磁性量子井戸ヘテロ構造の形成とその磁気光学効果(プラズモン・磁気光学相互作用)の観測を目標とする。最初に、ナノインプリントリソグラフィー技術を用いて金属ナノ構造体を作製していく。金属候補として前年度の理論的考察に基づきアルミニウムを採用する。プラズモン共鳴波長を330-350 nm程度に制御するためにナノドットサイズを150nm程度とする。2番目の課題として、磁性量子井戸構造の形成を実施する。Zn1-xCoxOを量子障壁層、ZnOを井戸層として用いる。量子井戸構造は、透過測定による磁気光学特性の評価に適する井戸層は3層程度とし、サファイアヤ基板上にパルスレーザー堆積法を用いて作製する。磁性量子井戸の作製後に、金属ナノ構造体をインプリント法によって作製し、プラズモンと磁気光学の相互作用を検証する。
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Research Products
(10 results)