2013 Fiscal Year Annual Research Report
金属電極に架橋した単原子・単分子の電子・熱・スピン輸送ダイナミクスの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
25104710
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木口 学 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70313020)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 単分子接合 |
Research Abstract |
銅は従来の研究では金や白金とは異なり単原子鎖を形成せず、すぐに破断してしまうことが知られていた。しかし、銅に分子を相互作用させることにより、銅の低配位状態の電子状態を変化させ、これにより銅単原子鎖を作製することができるのではないかと考えた。そこで本研究では、π結合と非共有電子対を持つ窒素分子に着目し、銅単原子鎖の作製をめざした。実験は極低温でMechanically controllable break junction 法を用いて行った。窒素雰囲気下で電気伝導度を計測しながら銅ナノ接合を破断させ、銅ナノ接合の長さを評価した。銅単原子状態の電気伝導度である1 G0(≈13 kΩ)では、銅ナノ接合の伸長距離に対して電気伝導度があまり変化しないプラトーが観測された。窒素導入後では導入前に比べプラトー長が0.5 nm から1.5 nmに伸長した。更にレングスヒストグラムでは複数のピーク構造が観測され、ピーク間隔は凡そ銅原子間距離に相当するものであった。このことから、3原子分程度の長さを持つ銅単原子鎖が形成されたことが示唆された。以上、銅原子と窒素分子の複合系を作ることによって、単体の銅原子では作製することができなかった銅単原子鎖を作製することに成功した。 分光法に関しては本研究では新たな手法として単分子接合のノイズ計測の確立を目指している。安定な単分子接合が作製することができる微細加工電極で電気伝導測定ができるように、計測システムの作製を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで作製の不可能であったCuの単原子ワイヤを窒素分子を利用することで、作製に成功するなど一定の成果を得たから。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル分子を用いた単分子接合の伝導度計測を行うことで、πスタック、水素結合、イオン結合やファンデルワールス結合を介した電子輸送過程を分子レベルで解明することを目指す。また、金属フタロシアニンなど磁性金属を含む分子や強磁性の発現が理論提案されているPdの単原子ワイヤについて、単分子接合の伝導度計測を行い、Kondo効果をはじめとするスピン輸送現象の解明を行う。
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Research Products
(8 results)