2013 Fiscal Year Annual Research Report
電子格子相互作用に起因する電子物性解明と物質設計
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
25104711
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
是常 隆 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90391953)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物性理論 |
Research Abstract |
これまでに、電子格子相互作用を第一原理的に計算し、バンドギャップの変化を摂動論から計算するコードの開発を進めていた。そこで本年度は、その計算結果の信頼性や妥当性を確認するためにフローズンフォノン法を用いた全く独立なコードを開発し、いくつかの系で摂動論による手法とほぼ同じ結果が得られることを確認した。また、対称性を考慮することによる計算の高速化や並列化の実装を行い、様々な系へ適用することを可能にした。これらの手法開発の成果や今後の物質設計を見据えて以下のような研究を行った。 1. ダイヤモンドのバンドギャップにおける同位体効果を理論実験両面から検証した。実験では非常に純度が高く欠陥や不純物の少ないダイヤモンドにおいて12Cと13Cでバンドギャップが15meV程度の同位体効果を持つことを明らかになった。その解析を理論的にサポートするとともに、実験とコンシステントな結果が第一原理計算を用いて得られることを明らかにした。 2. κ-(ET)2X のモデルパラメータを第一原理計算計算を用いて評価した。様々な物質に対する計算から、物質間の違いを生む要因として、クーロン相互作用の大きさよりも異方的三角格子とみたときの異方性が重要であると考えられることなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究課題の中で最も研究期間が不透明であったコード開発の部分に関して、コードの高速化や並列化に成功したことで、翌年度の研究の見通しがつくようになった。また、現在もいくつかの物質で研究が進んでおり成果をまとめる段階にあるものもある。従って、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、コードの開発により電子格子相互作用が電子状態へ及ぼす効果の計算を高速に行えるようになった。そこで、まず様々な物質において電子格子相互作用におけるバンドギャップの変化を明らかにしていきたいと考えている。既に、いくつかの物質における計算は始めており、今後それらの結果をまとめていければと考えている。 また、大きな系について計算も電子格子相互作用が計算できるようなコードの改良も行ったので、単位胞の原子数が多い有機物に関する計算も進めていき、電子格子相互作用起源の超伝導の可能性などについても議論していけたらと考えている。特に、有機物系においてはアニオンの種類や圧力、また構成分子の種類などによって様々な可能性があるため理論的な予言は非常に重要な役割を果たすと考えている。
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Research Products
(16 results)