2013 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン関連物質の電子・格子結合ダイナミクスとナノ空間フォノン波束の高感度検出
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
25104712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
武田 淳 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (60202165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラフェン / ナノカーボン物質 / 電子・格子相互作用 / コヒーレントフォノン / フォノン波束 |
Research Abstract |
本研究では、本研究室オリジナルの超高速レーザー分光技術を駆使し、グラフェンを代表とするカーボン系ナノ物質、強誘電体などの電子・格子結合ダイナミクス及びフォノン波束伝播を明らかにする。具体的には、(1)グラフェン表面におけるナノスケール光学フォノン波束の伝播の解明、(2)金属型カーボンナノチュ-ブ(CNT)の高周波コヒーレントフォノン検出と共鳴効果の解明、(3)2光子光電子分光法及び広帯域テラヘルツ分光法による強相関ラジカル結晶TTTAの光励起状態及び光誘起相転移ダイナミクスの解明、(4)広帯域シングルショット・イメージング分光法による有機分子及び光記録メディアGe2Sb2Te5(GST)の光誘起現象の解明などを行った。 (1)においては、7.5 fsの超短パルスレーザーを用いた波長分解ポンププローブ分光法を実行し、超短パルスレーザーによりコヒーレントに励振されたDモードナノスケール・フォノン波束が、グラフェン特有の線形分散を反映し、光学フォノンとしては極めて高速でグラフェン表面上を伝播することを見出した。(2)では、van Hove特異点に共鳴する高周波コヒーレントフォノンのダイナミクスを明らかにした。(3)では、Si表面に吸着したTTTA分子膜の配向や電子状態を明らかにし、相転移に関与する分子間モードを同定した。(4)では、GSTの光誘起アモロファス化をシングルショットで捉えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに、本研究の主要テーマであるグラフェンのナノ空間フォノン波束の高感度検出および関連物質であるカーボンナノチューブの波長分解高周波コヒーレントフォノン検出とvan Hove特異点に対する共鳴効果を明らかにすることができた。前者はすでに論文が受理され、後者も論文投稿準備中である。また、関連テーマに関する3件の招待講演を行った。 一方、広い意味で本研究に関連するいくつかのテーマを実行し、強誘電体フォノン波束伝播の量子制御、有機分子や強相関有機結晶の光励起状態を明らかにすることに成功した。 以上より、研究は当初計画以上に順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノカーボン材料においては、本年度著しく進展した波長分解コヒーレントフォノン分光法を更に駆使し、イオン液体を用いた電圧印加による電子・格子結合ダイナミクスを明らかにする。電圧印加によりフェルミエネルギーを制御し、カーボン系物質特有のバンド構造をを変調できるので、ナノカーボン材料の電子・格子結合ダイナミクスの詳細が明らかにできるものと期待される。 一方、関連物質としてグラフェンと類似のバンド分散を持つビスマスを取り上げ、高強度電場下における非線形光学応答を検出する。電子・格子結合ダイナミクスと非線形性の関係をグラフェンと比較しながら検討する。
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Research Products
(16 results)