2013 Fiscal Year Annual Research Report
物質デザインへの展開のための量子多成分系分子理論の高度化
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
25104721
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
立川 仁典 横浜市立大学, その他の研究科, 教授 (00267410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子多成分系分子理論 / プロトン / ミューオン / 炭素材料への水素吸着 / 生体分子クラスター / 陽電子化合物 |
Research Abstract |
これまで我々は、従来の第一原理計算だけでは直接取込むことのできない、水素原子核やミューオン、陽電子の量子揺らぎも含めた量子多成分系分子理論を展開してきた。具体的には、分子軌道(MO)法や、量子モンテカルロ(QMC)法、さらには密度汎関数(DFT)法に基づく手法と、経路積分法に基づいた、量子多成分系分子理論手法である。その中でも本年度は、主に以下の項目を実施した。 1.量子多成分系分子理論の高度化: (1A)大規模系を計算するために、経路積分法に半経験的分子軌道法をより効率的に実装することに成功し、今まで以上に計算コストを抑えることができた。(1B)非平衡状態を解析するために、ダイナミクスへの拡張ルーチンを新たに加えている。 (1C)ハイブリッド並列への実装を行っている。 2.物質デザインへの展開:(2A)ミューオンの量子効果も含めた精密計算を実現し、ミューオン化合物の構造やμSRにおける超微細結合定数を定量的に求めることに成功した。(2B)ホルムアルデヒド分子の陽電子親和力を精密に予測することを目的とし、現在最も高精度な第一原理法の一つである量子モンテカルロ法を用い平衡構造における陽電子親和力を最高精度で算定し、さらに分子振動効果の陽電子親和力に対する影響を理論的に解析した。その結果、平衡構造における電子状態の高精度解析から、ホルムアルデヒド分子はその平衡構造において+25(3) meVのPAをもちうることが明らかとなった。また、分子振動を考慮したPAの解析から、各振動モードの励起が異なるPAの変化を生じさせること、特に、C=O伸縮振動の励起によって大きくPAが増大することを見出した。本研究より、VFRで観測されるホルムアルデヒド分子のPAは30.69(3) meVであると予測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
プログラムの改良により、具体的計算結果を得ることができた。またその成果をいくつかの論文も報告することもできたので、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで以上にプログラムを洗練させるとともに、さらなる応用計算を実施してきいたい。
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