2013 Fiscal Year Annual Research Report
求核的活性種の触媒的発生法の開発と直截分子変換への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50334339)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機金属 / 触媒 / 不活性結合活性化 / 求核剤 / 有機合成 |
Research Abstract |
研究計画に従い、各種フェノキシラジカル金属錯体の調製法に関して検討を実施した。特に配位子部分に酸化還元活性のあるものとして既知のものを足がかりに種々の置換パターンの錯体調製を行った。調製した錯体の活性評価としては、当初計画であげたピリジンの炭素―水素結合官能基化に加え、インドリンの脱水素化反応などにも適用を試み、金属と配位子の組み合わせに応じた活性変化について情報を蓄積した。ピリジンの炭素―水素結合官能基化においては亜鉛などの本来は可逆的なレドックス反応には適用できない金属錯体でも反応が触媒的に進行したことから配位子部分の酸化還元活性がうまく働いているものと考えている。また、インドリンの反応では、金属部に本来、酸化還元活性をもつものを利用することが必須であったため、今後、どの部分が反応活性の本質をになっているかについて明らかにしていく必要がある。 また、第1列遷移金属触媒の炭素―水素結合活性化を利用した求核 的な活性種の発生と合成応用についても予定通り検討を実施した。結果として、コバルト触媒によるインドール2位選択的なアルケニル化反応、アルケニル化―連続閉環反応、キノリンの4位および5位選択的なアルキル化反応の開発に成功した。とくにインドールの2位選択的な反応では、同族のロジウム触媒と比較して、顕著に異なる反応性を見いだすことができた。単純に金属をロジウムからコバルトに代替できただけでなく、コバルトならではの反応性を活かした反応にも展開できたことから特に価値が高い成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
求核的な活性種の発生という当初目的としている成果はもちろん、それに加えて、ロジウムではできずコバルト触媒ならではの反応開発に成功した点は想定以上の成果である。また、各種錯体の調製法についても順調に情報が集まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で調製した各種錯体の反応性のさらなる検証、コバルト触媒の活性向上を目指した触媒前駆体の改良などを系統的に実施していく。
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