2013 Fiscal Year Annual Research Report
活性官能基を持つ化合物の直截的不活性炭素―水素結合官能基化
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105718
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
芝原 文利 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60362175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不活性結合活性化 / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
本研究では活性官能基を持つ複素環化合物のパラジウム触媒による炭素-水素結合選択的直接アリール化反応を検討している。本年度はまず活性官能基として、遷移金属触媒に対して非常に反応性が高いことで知られている臭素を導入した基質、特に4,5-ジブロモ-N-メチルイミダゾールの炭素-水素結合直接アリール化を検討した。われわれが以前開発したパラジウム-フェナントロリン系による炭素-水素直接アリール化では、この触媒系が高い炭素-水素結合活性化能を持つ一方で、カップリングパートナーであるハロゲン化アリールとの反応性は低いことがわかっていた。実際ジブロモイミダゾールと、臭素よりも反応性が高いヨウ化アリールとの反応を試したところ、臭素部位は完全に残り、イミダゾール2位のヨウ化アリールが反応した生成物が定量的に得られることが明らかになった。一方、比較のため同様の反応を既存の炭素-水素直接アリール化反応の触媒系で試したところ、全ての場合に反応系が複雑になり、期待した生成物は低収率でしか得られなかった。すなわち、パラジウム-フェナントロリン系がハロゲン化アリールに対し、適度な反応性を持っており、ヨウ素と臭素を適切に見分けることが明らかになった。この触媒系を利用すると、様々なアリール基をジブロモイミダゾールに導入できることが明らかになった。得られたアリール化ジブロモイミダゾールは、残った臭素部位を手がかりに様々な官能基を導入することができた。例えば、鈴木-宮浦カップリングによるアリール基導入、薗頭カップリングによるアルキン導入、さらにはBachwaldらによって最近報告された方法によりアミドも導入することができた。これらの反応を組み合わせることにより、抗アレルギー作用を持つ化合物の端的合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性官能基を持つ化合物の炭素-水素直接官能基化反応として、ジブロモイミダゾールを取り上げその選択的な反応の端緒を切り開くことができ、その成果も学会発表、ならびに論文投稿に至っている。また、ここで得られた知見は、おおよそ研究開始段階で期待していたとおりのものであり、この点では概ね予定通りに順調に進展している。一方、他の置換パターンのブロモイミダゾールでの反応を検討しつつあるが、初期の検討の知見が大いに反映されて順調に進展しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、臭化イミダゾールの反応の検討をさらに進め、反応の新規性のみではなく、合成手法としての有用性も積極的にアピールしていく。すなわち、具体的な生理活性物質や発光材料などをターゲットに、ここで明らかにした手法を鍵反応とする端的な合成を示していき、合成としての有用性を示していく。 一方、活性官能基として、これまで遷移金属触媒に用いることができなかった基質である、チオカルボニル化合物の直接アリール化反応も検討する。この反応に関しても、これまで報告されてきた炭素-水素結合直接アリール化反応の条件では、目的のアリール化生成物は得られなかったが、パラジウム-フェナントロリン系を適用することで、カップリング生成物が得られることが予備的に明らかにすることができている。そこで本年度は、この反応にも注目し、反応の条件最適化、基質適用範囲の検討、さらにはチオカルボニル基を含むπ共役系は最近伝導性材料の基本骨格として注目されていることから、生成物の伝導性測定、ならびに積極的な材料合成に展開していく。
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Research Products
(21 results)