2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素活性化と直截的炭素-炭素形成のための光触媒ハイブリッドパラジウム触媒
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 寿雄 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80273267)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光触媒 / シアノメチル化 / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
応募者らはパラジウム触媒と酸化チタン光触媒を組み合わせたハイブリッド触媒により,アセトニトリルを用いて温和な条件下で直截的にベンゼンをシアノメチル化することに成功した.酸化チタン表面にパラジウム触媒が存在する反応場が二元的に機能し,光触媒がアセトニトリルの炭素-水素結合を活性化しラジカル中間体とし,パラジウム触媒がこれをベンゼンに付加させ炭素-炭素結合の生成に至ると推測した.そこで,電子スピン共鳴により反応中間体を明らかにし,反応機構を明らかにするために同位体化合物を用いた反応実験等をおこなった結果,アセトニトリルの光触媒的な活性化によりシアノメチルラジカルが生成することと,一方でベンゼンの活性化は律速でないことがわかり,シアノメチルラジカルがベンゼンに攻撃することが重要であることがわかった.さらには,シアノメチルラジカルの生成はパラジウムでも白金でも助触媒として貴金属が存在していれば進行するが,芳香環のシアノメチル化にはパラジウム触媒が必要であることがわかった.現在のところ,パラジウムは芳香環の活性化にも貢献し,そこにシアノメチルラジカルが攻撃する機構で進行していると推測して実験を継続している.さらなる知見を得るために,置換ベンゼンやピリジンのシアノメチル化にも取り組んだ結果,これらの芳香環に対してシアノメチル化は進行することが確認された.特にピリジンの場合には,ある一定の選択性が見いだされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,申請者が見出した芳香環シアノメチル化の反応機構の解明を大きな柱としてあげているが,ハイブリッド触媒の構成要素である酸化チタン光触媒とパラジウム触媒(助触媒)の役割が明らかになりつつあり,概ね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,パラジウム触媒が光触媒の助触媒的な機能と芳香環の活性化の双方を担っているという作業仮説の下,分光法も含めた検討により,反応機構をより明らかにしたい. 同時に当初計画していた芳香環以外のシアノメチル化にも取り組む予定である.
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