2013 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟なナノサイズ反応場を提供する配位子の開発と遷移金属触媒反応への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105731
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 哲晶 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30374698)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 反応場 / パラジウム / 含窒素複素環カルベン / ポリエチレングリコール |
Research Abstract |
今回,繰り返し単位が12ならびに17のPEG鎖を導入した含窒素複素環カルベン(NHC)配位子を合成し,柔軟なエチレングリコールの鎖長が鈴木-宮浦反応に与える影響を検証することにした.4-クロロトルエンとフェニルボロン酸を用いるカップリング反応において,1.0 mol%のパラジウム触媒存在下,リン酸カリウムを塩基とし,THF中45度の反応条件で配位子の検討を行った.エチレングリコール鎖を全くもたない (1) では反応は進行しなかった.以前に我々が開発したテトラエチレングリコール鎖を導入した配位子 (2) ではわずかに反応が進行した.ここで,繰り返しが平均12のPEG鎖をもつ配位子 (3) では中程度の収率となり,繰り返し17のPEG鎖を有する配位子 (4) をもつパラジウム触媒で反応が効率良く進行することが分かった.このようにPEG鎖が長くなると活性が向上するという非常に興味深い結果が得られた.一方,配位子の当量を2倍にすると反応は停止した.本反応において,パラジウム/配位子の比は極めて重要な要素であることを示している.また,1にPEG鎖をもつ部分構造を添加しても反応が進行しないことから,配位子周辺部に長いPEG鎖が保持されていることが必要であることが分かった.ONIOM計算により求めた (4) を有するパラジウム錯体の最適化構造では,鎖が配位中心を覆うようなかさ高い構造が比較的安定であることが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請では「柔軟な触媒反応場の構築とそれらを利用した高活性触媒の開発」を目的とする.本年度は,自由度が高く柔らかい構造をもつポリエチレングリコール鎖を導入した柔らかい反応場の構築し,この反応場における触媒反応性を検証することを狙い,期待通り,エチレングリコール鎖の長さによって触媒活性が大きく変化することが分かった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,今年度得られた知見をさらに展開する.すなわち,規則正しい分岐構造をもつデンドリマーの中心に触媒反応点として含窒素複素環カルベン配位子を導入した「中心部機能化型」を基本とし,デンドリマー構造の周辺部に官能基修飾を施した複合機能化デンドリマー触媒を開発する.外表面に,酸化還元応答部位(フェロセン,キノン,メチルビオロゲン誘導体など)を導入して電子プール(またはホール)とすることで.触媒中心の酸化還元反応の制御に利用する.また,酸塩基応答部位を導入し,水中のpH勾配を利用することを試みる.
|
Research Products
(6 results)