2013 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の静的構造効果と動的構造変化に基づく分子活性化の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105738
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松尾 貴史 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (50432521)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタセシス / 生物有機金属化学 / タンパク質 |
Research Abstract |
タンパク質・酵素の中は、高次構造の形成により機能に関与するアミノ酸配置があらかじめセットされる「静的構造効果」が重要であり、これは低分子化合物では実現困難な魅力的な反応場を提供する。さらに、この環境下に、合成的手法により調製された無機錯体や有機金属錯体を導入すれば、不斉合成や基質選択的触媒反応に応用できる。しかし、その導入方法には、古典的なシステインチオールを介した反応とは異なる新たな手法の開発が必要である。このことから、我々は、ホベイダグラブス錯体が関与するオレフィンメタセシスに着目し、タンパク質化学修飾にも応用できるメタセシス反応を検討した。水系でのメタセシス反応には、反応溶液中の塩濃度の維持が重要であり、通常、生化学実験で用いられる緩衝溶液中では、この反応効率は著しく低下することが分かった。これを回避するためには、ホベイダグラブス錯体のルテニウム反応中心に配位するクロライド配位子をできるだけ維持することが必要と考え、塩化物塩共存下での反応を検討したところ、反応効率が大幅に向上した。緩衝溶液中でも、塩化カリウムなどの共存塩の存在は必須であり、他のカウンターアニオンの塩では反応効率の向上が見られなかった。したがって、水系メタセシスにおいて、中心金属上のクロライド配位子は反応活性のファインチューニングに重要であることが示された。この結果は、ケミカルバイオロジー分野における実験ツールとして、メタセシス反応を用いる際の実験プロトコルの確立に重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工金属タンパク質構築の新手法を開発する糸口を示しており、本研究の結果は、タンパク質構造が提供する反応場が提供する分子活性化システムを構築するのに重要な手がかりである。
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Strategy for Future Research Activity |
2分子の金属錯体を用いて、オレフィンメタセシスを基盤とする化学修飾タンパク質を構築し、タンパク質構造変化に伴い、2分子の金属錯体が接近することで、協奏的機能性金属触媒反応が可能となるかを検討する。
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