2013 Fiscal Year Annual Research Report
水素-ヘテロ原子結合を起点とする不活性結合の活性化
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105739
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C-H活性化 / ロジウム / Si-H結合 / オルト位ホウ素化 / シラフルオレン |
Research Abstract |
従来、位置選択的にC-H結合を活性化するために、金属に配位するヘテロ原子(Lewis塩基)をもつ配向基(directing group)を使い、配位不飽和な遷移金属活性種を目的のC-H結合に近づける手法が主に用いられてきた。我々は2010年に、ケイ素-水素結合の活性化を利用する新しいシラフルオレンの合成を報告した。この反応を元に研究を進め、本年は以下の結果を得た。 (1) オルト位選択的ホウ素化反応: ホウ素-窒素のLewis酸-塩基相互作用を利用することで反応点を近づけ、遷移金属触媒によりホウ素-水素を活性化し、それを利用して近くにあるオルト位のsp2炭素-水素結合を選択的にホウ素化できることを見いだした。ホウ素化合物として9-BBNを用いると、Pd(OAc)2、[ReBr(CO)3(thf)]2、RhCl(PPh3)3などいくつかの触媒でこの反応は進行した。とくに、Pd(OAc)2を用いると25℃でも反応が進行した。 (2) sp3炭素-水素結合の活性化: レニウム触媒を用いると、窒素のα位のsp3炭素-水素結合の活性化が進行し、α位でのホウ素化反応がおこなえることを見いだした。この反応は、基質特異性はあるものの、末端だけではなく内部炭素のC-H結合でも進行することがわかった。 (3) ジベンゾゲルモールの合成: 以前にシラビフルオレンをSi-H結合活性化に誘発されたC-H結合活性化で合成していたが、ケイ素と同族のゲルマニウムを用いて反応をおこなうと、ジベンゾゲルモールが得られることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しい活性化の概念を用いたパラジウム触媒によるsp2炭素上でのホウ素化反応を開拓した。さらにその延長の研究として、sp3炭素と比べ難しいとされているsp3炭素の、ホウ素化反応を見いだした。本反応はsp2炭素の反応とは異なり、レニウム触媒を用いることで達成できた。さらに、以前に報告したジベンゾシロールの合成反応が、有機材料として期待されているゲルモールの合成に適用できることも見いだした。本反応は種々の置換ジベンゾゲルモールの合成に展開できる。後者は当初予想された反応であるが、前者は、触媒を種々検討することにより見いだすことができた新しい手法であり、将来の展開が期待される研究である。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく見いだした反応については、日本化学会第94春季年会で発表した。現在、これらを論文として発表するための詰めの実験を進めており、今年度中に投稿する予定である。また、本手法を新しい有機機能性材料の合成に利用する研究も進めている。
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