2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素結合切断を経る極性官能基をもつアルキル基導入法の開発と不斉反応への展開
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105746
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70252591)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C-H活性化 / 炭素-炭素結合生成 / アシルアルキル基 / 遷移金属錯体触媒 / 触媒的変換反応 |
Research Abstract |
環状アルケニル炭酸エステルを用いて芳香族化合物との反応を行うことで、脱炭酸を伴うオルト位選択的なα-アシルアルキル基の導入反応が進行し、α-アリールケトンが生成することを見出した。α-アリールケトンの合成法については現在までに多くの例が知られているが、分子間での芳香族炭素-水素結合の直接官能基化によるα-アリールケトンの合成例は極めて限定的であり、本反応は遷移金属触媒によるベンゼン環の炭素-水素結合切断を経るα-アリールケトンの新しい合成法といえる。 アルケニルエステルを用いた反応の条件を参考にし、3-(2-フェニル)ピコリンと4-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オンの反応を、Ru(cod)(cot)触媒を用いてメシチレン中150℃で行うと、オルト位にアシルアルキル基が導入された生成物が収率25%で得られた。この結果は、環状アルケニル炭酸エステルを用いれば脱炭酸を伴って炭素-炭素結合生成が進行し、オルト位選択的に極性官能基をもつアルキル基の導入が可能であることを示している。 本アルケニル化反応は、アリールオキサゾリン類を用いることも可能であった。2-トリルオキサゾリンを用い4-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オンとの反応を同条件で行った場合には、興味深いことにフェニルピリジンを用いた場合と逆の位置選択性で炭素-炭素結合生成が選択的に進行し、対応する生成物がGC収率41%で得られた。 平成25年度の検討により、炭素-水素結合切断を利用したベンゼン環へのアシルアルキル基の導入を可能にする新規触媒反応の開発が達成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つである炭素-水素結合切断を利用した極性官能基をもつ炭素基の導入反応として、アシルアルキル基を導入する新規触媒反応の開発に成功した。この反応を不斉反応へ展開することは次年度の研究課題としていることから、本年度に計画していた内容はほぼ計画通りに達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、これまで行ってきた手法を利用して開発した触媒反応高効率化を目指した検討を行う。様々な遷移金属錯体を用いて、より反応性ならびに選択性の高い触媒系の構築を目指す。 さらに、不斉反応へと展開することにより、有機合成反応においてより有用性が高い反応としての利用を目指す。
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Research Products
(5 results)