2013 Fiscal Year Annual Research Report
ニトリルのα-C-H活性化による不斉C-C結合形成反応の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
25105749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
熊谷 直哉 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主席研究員 (40431887)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不斉触媒 / ニトリル / C-H活性化 / 不斉合成 |
Research Abstract |
最も単純なアルキルニトリルとしてアセトニトリルを求核種前駆体として用いた触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の探索を行った。ソフトLewis酸とBronsted 塩基から成る協奏機能型触媒を用い,ニトリルがソフトLewis酸により特異的に活性化されることでα位水素の酸性度が上昇し,温和な塩基により活性求核種であるα-シアノカルバニオンが触媒的に系中調製可能と予測した。潜在的により酸性度の高いカルボニル系求電子剤の自己縮合を抑制するため,アルコキシド塩基は避けてアミン系塩基を採用し,官能基選択的な求核種発生を模索した。反応遷移状態において求電子剤と求核剤の不斉環境下での立体選択的な接近を促すことを目的に,ソフトLewis酸への選択的な配位が期待できるソフトLewis塩基を配した求電子剤の採用を試みた。検討の結果,N-チオフォスフィノイルイミンを求電子剤,Cu(I)/(R,Rp)-Taniaphos/Barton’s baseを協奏機能型触媒とすることで,望みの付加体が中程度の立体選択性で得られることがわかった。一方,より広範な応用が期待されるアルデヒドを求電子剤とする反応を検討した。本反応は,強塩基であるtert-ブトキシドを用いる触媒系による77% eeが文献上の最高光学収率であり,アルジミンへの反応と同様に高い立体選択性を発現する反応系の開発が強く望まれている。各種Lewis酸と不斉配位子を検討した結果,同様のRh(OMe)/chiral NHC 錯体が望みの付加体を中程度の立体選択性で与えることを見いだした。本反応はオルト位にアルキン置換基を有する芳香族アルデヒドが有意に高い反応性を示し,今後反応メカニズム解析と立体選択性の向上を両軸に研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前例のないアルジミンへのアセトニトリルのダイレクト型不斉付加反応の開発に至ったが、収率・エナンチオ選択性は満足のいくレベルには到達していない。本問題を解決する糸口となり得るNHC/遷移金属触媒系を見いだしており、次年度中の開発を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度において開発したアルキルニトリルのC(sp3)-H結合活性化協奏触媒系はアルジミンに対するアセトニトリルの触媒的直截的付加において中程度のエナンチオ選択性を示した。H26年度はソフトなルイス塩基性を有するケトイミンに基質として適用し、不斉4置換炭素の構築を目指す。計算化学的手法及び各種スペクトル解析により活性求核種を明らかにすることで、低反応性のケトイミンへの不斉付加反応への論理的なアプローチも展開する。アルデヒドに関する付加反応については、萌芽的結果が得られたNHC/遷移金属錯体に焦点を当てて検討する。キラルNHCの合成は多大な時間と労力を要するため、配向基を持たせたアキラルなNHC錯体に対して金属配位による外部キラル配位子と錯体形成させる超分子的アプローチも同時に検討する。ニトリル求核剤は立体障害が小さく反応性が高い反面、立体選択性を発現させるのが困難であるが、超分子的アプローチにより効果的な立体選択性の発現が可能になると期待される。
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Research Products
(24 results)