2013 Fiscal Year Annual Research Report
列挙的なアプローチによる計算限界解明
Publicly Offered Research
Project Area | A multifaceted approach toward understanding the limitations of computation |
Project/Area Number |
25106502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山中 克久 岩手大学, 工学部, 助教 (60508836)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 列挙 / 列挙アルゴリズム / グラフ |
Research Abstract |
列挙の技術を用いることで計算限界解明に貢献することを目的としている.また,列挙アルゴリズムに対する計算限界を解明することも研究の目的としている. 平成25年度の大きな研究成果は,極大平面グラフに対して,高速な列挙アルゴリズムを設計したことである.面の数mを入力とし,m面からなる全ての極大平面グラフを定数時間遅延で出力するアルゴリズムを設計した.列挙アルゴリズムの計算量として,定数時間遅延は最速なアルゴリズムである.すなわち,理論的にはこれ以上改善できないほど高速なアルゴリズムとなっており,ある意味での限界を達成している.さらに,計算機実験により,既存の列挙アルゴリズムよりも非常に高速であることを確認できた. その他にも,グラフの独立点集合に対する再構成問題についての結果を得ることができた.これは,2つの独立点集合が与えられたとき,ある決められた命令のみを用いて,一方の独立点集合からもう一方の独立点集合を構成できるか否かを問う問題である.ただし,途中に出現する頂点集合も全てグラフの独立点集合になっていなければならない.この問題に対して計算複雑度を明らかにするとともに,FPTアルゴリズムを与えることに成功した.再構成問題は,列挙問題の複雑さを論じるために大きなヒントになり得ると期待されており,列挙問題の複雑さを解明するための足がかりとなり得る研究成果である. その他にも,列挙アルゴリズムを構築する際のフレームワークである逆探索法のアイデアをランダム生成へ適用する手法を考案し,フロアプランをランダム生成するアルゴリズムを設計した.フロアプラン以外の離散構造に対して同様のランダム生成アルゴリズムが設計できるかどうかを検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究目標であった,列挙の技術を用いることで計算限界解明に貢献することに関して研究の遅れが生じている.具体的には,論理式を列挙することで,主に合成関数に対する論理式の最小サイズ(葉の数)を求めることを目標にしている研究課題に関してである.当初に想定していたよりも膨大な組合せ空間の探索が必要となることが明らかになったため,単純なアルゴリズムをベースとしてしまうと高速なプログラムを記述するのが困難であることが分かった.今後は,アルゴリズムに高速化のアイデアを盛り込むことにより,高速なプログラムの実装を行う.探索空間の枝狩りを行うアイデアは既にいくつか考えている.これをアルゴリズムに盛り込むことで高速なプログラムの開発を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
列挙の技術を用いることで計算限界解明に貢献することに関しては,論理式の列挙の研究を継続し,高速な列挙アルゴリズムの開発とプログラムの実装を行う.また,論理式以外の離散構造に対しても列挙アルゴリズムを設計し,得られた列挙データをカタログとして広く使用してもらえるようにホームページで公開する. 列挙問題の複雑さについては,再構成問題との関連を引き続き調査・研究する.本年度に得られた成果(独立点集合に関する成果)をもとに研究を推進する.再構成問題の一種であるトークン交換問題に関しても調査・研究を行う. その他にも,列挙アルゴリズムの技術をランダム生成のために利用することを研究する.本年度の研究で,列挙アルゴリズムを構築する際のフレームワークである逆探索法のアイデアをランダム生成へ適用することに成功している.これは今後の進展が期待できる研究テーマである.様々な離散構造のランダム生成に関して同様のアプローチを検討する.
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Research Products
(5 results)