2013 Fiscal Year Annual Research Report
計算構造制限下での暗号技術の限界解明
Publicly Offered Research
Project Area | A multifaceted approach toward understanding the limitations of computation |
Project/Area Number |
25106509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安永 憲司 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (50510004)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 暗号技術 / 計算構造 |
Research Abstract |
本研究では、計算構造の制限下における暗号技術存在性の限界を解明することを目的としている。 ファジィ抽出器は、生体情報等の情報源から一様乱数を抽出する暗号技術である。ファジィ抽出器の構成法として、スケッチと乱数抽出器を組み合わせる方法が一般的である。ファジィ抽出器は情報理論的な安全性をもつ技術であるが、そのためにエントロピーロスが避けられないことが知られている。既存研究において、エントロピーロスを避けるために安全性を計算量的なものに緩和するアプローチが考えられた。その研究において、計算量的な安全性をもつスケッチの存在は、情報理論的な安全性をもつスケッチの存在を含意することが示された。 本研究では、計算量的な安全性をもつファジィ抽出器の存在性の限界を明らかにすることを目指した。その結果、ある計算量的な仮定のもと、計算量的な安全性をもつファジィ抽出器の存在は、情報理論的な安全性をもつファジィ抽出器の存在を含意することが明らかとなった。ここでの計算量的な仮定とは、乱数抽出アルゴリズムが効率的に逆計算出来ないという仮定である。この結果より、情報理論的なファジィ抽出器における限界を、計算量的なファジィ抽出器で回避するには、抽出アルゴリズムが効率的に逆計算出来ないように設計する必要があることがわかった。 また、通信路上での誤り発生のモデルを多項式時間アルゴリズムに制限することで、そのような誤りを訂正可能な符号の存在性および達成可能な符号化レートが明らかになった。特に、エントロピーが低いにもかかわらずシンドローム復号では訂正が困難な誤りが存在することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファジィ抽出器という具体的な暗号技術に対して、存在性の限界を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ファジィ抽出器の存在性の限界を更に明らかにしていく。例えば、入力に対する安全性を考えるなど、より安全性の高いファジィ抽出器は達成可能であるか、またそれらは情報理論的な安全性を達成可能か、それが難しいならば計算量的な安全性は達成可能かなどを明らかにしていく。 また、誤りを多項式時間アルゴリズムに制限した場合の訂正可能性について、既存研究では、通信路の計算能力の上限がわかっている場合に、誤り訂正が可能であるが、上限がわからない場合に、誤り訂正は達成可能か否かを明らかにしていく。達成不可能性を無条件に示すことが難しい場合は、ブラックボックス的な安全性証明に限定した上で、証明が困難であることを示していく。
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Research Products
(8 results)