2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気・海洋・海氷相互作用系の変動による北日本の冬季降水への影響
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
Project/Area Number |
25106701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 友徳 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (10512270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 気候変動 / 日本 / 降水量 / 冬季モンスーン / 海面水温 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
冬季,北日本日本海側の地域ではユーラシア大陸からの寒気の吹き出しと,日本海上における気団変質の結果,多量の降雪がもたらされる.日本周辺における冬季(12~2月)平均の海面水温は、1980年代前半以降上昇しており、特に日本海北部では顕著な昇温傾向にある.本研究では日本周辺における近年の海面水温の上昇が北日本の冬季降水の長期変動に与える影響を調べた 1982/83年~2007/08年の26年分の冬季期間について,領域大気モデルWRF-ARWを使用した数値実験を行った.境界値には大気データはJRA-25/JCDAS,海面水温データはOISSTの日別値を用いた(以降,REALランと呼ぶ).海面水温の長期的な変化による大気への影響を調べるため,海面水温の日別気候値を作成し,これを境界条件とした感度実験も26年分の冬季について行った(以降,CLIMラン).CLIMランではREALランと同一の大気データを使用しており、冬季アジアモンスーンの年々変動の特徴は二つの実験でほぼ同じと見なすことができるため、両実験の違いは海面水温の違いのみによるものとして解析を行った REALランは東北の日本海側で有意な降水量の増加がみられ、実際に観測された特徴を再現した.また,統計的に有意ではないものの北陸地方に観測と類似した減少傾向が再現されている.気候値のSSTを用いたCLIMランでは,日本海に降水量が減少傾向を示すライン状の領域が現れた.また,東北~北陸の日本海側では,観測やREALランとは異なり降水量は減少傾向に転じていた.これらの結果から,近年の日本海上の海面水温上昇は日本海側の冬季降雪のトレンドに寄与していたことが分かった.また,CLIMランで示された降水量の変化傾向は,冬季モンスーンの変化に伴って日本海寒帯気団収束線(JPCZ)が弱化したことを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的達成のために必要な観測データの解析、数値実験用のデータの作成、数値実験の実施を当初計画通りにすべて完了した。また、学会発表や論文発表も複数件行っており、研究成果の普及も行ったため、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、数値実験で得られたデータをさらに詳細に解析し、各実験で確認された海面水温と降水量の関係についてメカニズムの解析を行う。また、海氷分布が冬季の日本の気候に与える影響や、太平洋側の地域について解析を行い、将来の気候変動予測に関する考察も行う。
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