2014 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋亜寒帯域の海洋酸性化の要因解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
Project/Area Number |
25106709
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
脇田 昌英 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 技術研究員 (30415989)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海洋環境変動 / 海洋酸性化 / 環境動態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高生物生産力である西部北太平洋亜寒帯域において、混合層の酸性化を捉えることを目的とし、以下のことを、実施した。 1.時系列自動採水器による係留型時系列観測の回収:2014年5~6月の学術研究船白鳳丸航海において、100m深等に設置した時系列自動採水器とCTD・酸素センサーを回収・分析した。その結果、得られた冬季の水温、塩分、栄養塩、アルカリ度は、温度極小層から間接的に推定した値と一致したことから、温度極小層は、冬季混合層の名残として安定して存在し、それを用いた酸性化の推定法も妥当であることが分かった。しかし、時系列自動採水器での溶存無機炭素は、サンプルバックのアルミ膜が剥離したため、再検討の必要がある。
2.西部亜寒帯循環域の混合層内の二酸化炭素の増加と酸性化:1997年から2014年の混合層の各月平均値と観測値の差から求めた二酸化炭素とpHの経年変化は、温度極小層から推定した冬季混合層のものと有意に一致し、-0.001/yrの速度で酸性化が進行していた。冬季同様、全アルカリ度の増加に伴うアルカリポンプの強化によって、亜寒帯域の酸性化が亜熱帯域のものよりも抑制されていた。一方、月平均値と観測値の差から求めた溶存無機炭素と栄養塩の増加率は、推定した冬季混合層のものより遅かったことから、生物生産の減衰か有機物分解の増加の可能性がある。
西部亜寒帯循環の経年変動:衛星海面高度計とCTDデータを基に、AGEM法を用いて地衡流と塩分躍層の深さの時系列を推定した。その結果、西部亜寒帯循環が北部カムチャツカ半島の東方沖に局所的な副循環を形成すると共に、最近10年で顕著に縮小していた。さらに、循環の変化による塩分躍層の深化に伴って温度極小層が深化していることが分かった。係留観測では、混合層の急激な低塩化を捉えており、その要因として、循環の変化に加え、降水と高気圧性の中規模渦の寄与が示唆された。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
世界気象機関(World Meteorological Organization:WMO)より2014年9月9日に発行された温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)第10号に、大気CO2増加に伴う世界の海洋酸性化が報告され、国連気候サミットで配布された。その中で、代表的な時系列観測点の一つとして、主著論文であるWakita et al., 2013の結果が掲載された。
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