2013 Fiscal Year Annual Research Report
チューブ状メソポーラスシリカを利用した光捕集複合体の配列制御
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical conversion of solar energy by artificial photosynthesis: a breakthrough by fusion of related fields toward realization of practical processes |
Project/Area Number |
25107506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山口 央 茨城大学, 理学部, 准教授 (10359531)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メソポーラスシリカ / 光捕集複合体 |
Research Abstract |
生物由来の光合成ユニットを利用した半人工プロセスにおいては,細胞内での高効率な光エネルギー伝達過程の再現が重要であり,人工的にナノメートルレベルで各種光合成ユニットの規則的・階層的配置が求められている。本研究では,人工光合成アンテナ系構築で求められる光捕集タンパク質・反応中心の階層的配列について,チューブ状メソポーラスシリカを用いた新しい方法論の開拓を目標としている。 本年度は,メソ空間に閉じ込められた光捕集複合体LH2の熱安定性について,詳細な検討を行った。具体的には,細孔径の異なるメソポーラスシリカ細孔にLH2を吸着させて,LH2のB800とB850吸収帯を指標として熱安定性の評価を行った。その結果,吸着LH2の熱安定性にメソポーラスシリカ細孔径の依存性は確認されなかった。また,バルク水溶液に界面活性剤LDAOによって可溶化したLH2の熱安定性と吸着LH2の熱安定性を比較したところ,両者に顕著な違いは見られなかった。以上の結果は,一般的な水溶性タンパク質で提唱されている,表面効果あるいは閉じ込め効果による構造安定化が,膜タンパク質であるLH2で発現しないことを意味し,吸着LH2の構造安定性は主にユニットタンパク質間の分子間相互作用によって決定されていることを示唆するものである。 また,細孔内へのLH2導入法についても検討した。具体的には,多孔性陽極酸化アルミナ膜の片側にLH2溶液,反対側に純水を接触させる操作によって,濃度勾配と透析作用に基づき,時間はかかるものの良好なLH2の吸着が達成されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,メソポーラスシリカ細孔内に閉じ込められた光捕集複合体LH2の熱安定性が,バルク分散系に比べて向上することを期待していた。しかし,細孔内閉じ込めによる熱安定性向上が確認されなかったために,熱安定性がどのような因子によって決定されるのかを検討することに時間を要することになった。そのために,達成度にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果から,メソポーラスシリカ吸着LH2について熱安定性の支配因子の決定を行うことができた。この知見に基づいて,現在は比較的細孔径の大きなアルミナ細孔に吸着させたLH2,およびLH1,LH1-RC,LH2とLH1-RC,について熱安定性の検討を進めている。得られた結果を元に,目標とする人工光合成アンテナ系の再設計を行う予定である。
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