2013 Fiscal Year Annual Research Report
配位高分子鎖を利用した光捕集系の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical conversion of solar energy by artificial photosynthesis: a breakthrough by fusion of related fields toward realization of practical processes |
Project/Area Number |
25107513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柘植 清志 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (60280583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発光性配位高分子 / 配位子混合型 / 同形混晶 / 異形混晶 / 複合化 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
これまでの研究で、4,4’-ビピリジンを架橋配位子とした混合金属配位高分子、また、混合ハロゲノ銀(I)錯体を合成し、発光サイト間で速やかなエネルギー移動や、エネルギー集約があることを示してきた。本研究では、このような“混合型”発光性配位高分子のエネルギー移動・集約に関する特徴を利用して、発光性配位高分子鎖を光アンテナとして利用した光捕集系の構築を行う事を目的としている。 本年度は、合成可能な組み合わせを探求し、エネルギー移動に関する情報を得るため、[Cu2I2(PPh3)2(L)]を基盤として架橋配位子L混合型の錯体の合成を行った。配位子サイズのほぼ等しい(ピラジン(pyz), ピペラジン(pip))および(ビピリジン(bpy)、ビピペリジン(bipip))の組合せでは、混合型の錯体[Cu2I2(PPh3)2(L)x(L’)1-x]を合成できることが単結晶構造解析および発光スペクトルにより明らかとなった。またこれらの組合せは同形混晶を作っていた。これまでの混合金属および混合ハロゲノ錯体に加え、同形結晶の場合には、単一原子イオン以外も容易に配位高分子鎖に導入できることが示せた。 サイズの異なる(ビスピリジルエタン(bpa),bpy)の組合せでは、反応当量比が5:5の際に、発光スペクトルはbpaとbpyの中間であるような錯体が得られた。全くサイズの異なる(bpa,pyz),(bpa, pip)混合系でも、bpa錯体と異なる発光性を示す化合物も得られた。一方でこららの化合物は結晶構造解析的にはbpa錯体と同一であった。このため、単結晶中に不純物サイトのような形でサイズの異なる配位子が取り込まれることが考えられる。 また、銀錯体の発光性に関して、異なるホスフィン配位子を導入した錯体の合成により、ホスフィン配位子からの影響と架橋配位子からの影響について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、混合型発光性配位高分子のエネルギー移動に関する特徴を利用して、発光性配位高分子鎖を光アンテナとして利用した光捕集系の構築を目指している。このために、種々の配位子・金属を組合せた配位高分子の合成による配位高分子鎖中でのエネルギー移動の解明と、光エネルギーの取り出し口となるヘテロサイトの導入を行う。 平成25年度は、混合型錯体の設計の上で最も重要なポイントとである、どのような配位子すなわちヘテロサイト導入が可能であるかについて構造・発光性の異なる5種類の配位子について可能な10通りの組み合わせを網羅的に検討した。類似サイズで同形構造を取る化合物では、溶解度差がある場合でも、溶媒、濃度などを検討することにより、比較的容易に混合化が可能であることが示せた。また、サイズの異なる配位子を混合した場合には、微量ながら取り込まれ、主要成分の発光挙動が変化することが示せた。このように、架橋配位子としてのヘテロサイトの導入と、導入による発光挙動の変化についての検討はおおむね予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、エネルギー集約の基盤となる配位子混合型の錯体の合成について、溶媒、濃度、当量比が重要なポイントであるなど基本的な知見が得られた。次年度も、引き続きこれらの配位高分子のエネルギー移動・エネルギー集約について検討すると同時に、本年度の研究をもとに、表面へのエネルギー集約サイトの導入を試みる。25年度の研究により、ビピリジン錯体以外に、ビピペリジン、ビスピリジルエタンを用いた錯体も結晶性が良くこれらの結晶の修飾を主に行う。配位高分子内のエネルギー移動に関しては、化合物中での配位子の比率と発光挙動の関連を明らかにするため、わずかに取り込まれている成分の量の分析を行うと同時に、含有量と発光スペクトル、発光寿命も含めた解析を行う。特に、bipip-bpy錯体で見られた、量子収率が低減しない理由についての検討を行う。また、サイズの異なる配位子混合錯体の合成で得られた知見を活かして、表面へのヘテロサイトの導入を行う。ピリジル系の配位基をもつ錯体配位子を合成し、ピリジン系配位子に変えて錯体配位子の表面導入も試みる。配位高分子および錯体配位子の溶解度の検討をし、溶媒種類、濃度などの反応条件を検討する。
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