2013 Fiscal Year Annual Research Report
水分解触媒部位の周辺環境から理解する光合成蛋白質における酸素発生反応
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical conversion of solar energy by artificial photosynthesis: a breakthrough by fusion of related fields toward realization of practical processes |
Project/Area Number |
25107517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石北 央 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00508111)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人工光合成 / Mn4CaO5 / 水分解酸素発生 / 光化学系II / Photosystem II |
Research Abstract |
人工光合成分子の開発実現のためには、光合成に関わる蛋白質PSIIの水分解反応機構の解明が求められている。実際に、PSIIのMn4CaO5錯体をヒントに多くのMn錯体分子が合成された。興味深いことに、全てのMn-O結合距離がそろった対称性構造をもつ錯体分子では水分解活性がほとんどないが、いくつかの伸びたMn-O結合を持つ「歪んだ」構造の錯体分子では水分解活性があることが知られている。つまり、伸びたMn-O結合に起因する「歪み」の存在は水分解活性の有無を決める重要な要因といえる。PSII蛋白質分子に対して、(2013年のノーベル化学賞受賞対象となった量子化学計算手法)QM/MM法を適応することで、これまで、歪みの原因はCaが一つだけ含まれていることによると考えられていた定説を覆し、歪みの直接の原因は「椅子」の「台座」部位に存在するCaではなく、そこから離れた「背もたれ」部位に一つだけ存在するMnであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mn4CaO5錯体の歪みの理由を特定し、国際誌上に発表を行った。また、大阪大学よりプレスリリースを行った。 http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/ResearchRelease/2013/10/20131015_1
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Strategy for Future Research Activity |
Mn4CaO5クラスターは数段階の酸化状態変化を経て水分解・酸素発生反応を行う。今まで行っていない酸化状態においても研究を進め、特定の酸化状態においてMn4CaO5クラスターに何か際立った特徴が生じるかどうかを精査する。また、周辺の蛋白質環境で連動して起こるプロトン移動反応に関しても、QM/MM法等により解析を行う予定である。
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Research Products
(17 results)