2013 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンバイオミネラルに関わる新規タンパク質グラシンによる融合マテリアルの創成
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
25107722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
清水 克彦 鳥取大学, 産学・地域連携推進機構, 准教授 (90326877)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物工学 / 生化学 / タンパク質 / 動物 / 海綿 / 複合材料 |
Research Abstract |
本研究では,六放海綿(ガラスカイメン)類カイロウドウケツのシリカ骨格に含有される新規タンパク質グラシンの構造を決定し、組換えタンパク質を用いてシリコンバイオミネラル形成機構を解明し、その改変体を用いてシリカの構造制御を可能にするとともに、 遺伝子組換えグラシンの大量生産システムを確立して、環境への負荷が小さいシリカ融合マテリアルの形成を可能にすることを目的とする。本年度は、グラシン遺伝子のクローニングを行い、その構造を決定し、組換えタンパク質による機能再現の確認をすることとした。 これまでにすでにcDNAの一部を単離しており、この配列をもとにグラシンをコードするDNA配列を単離することとした。5’-RACE法により5’側のcDNA配列を得ることができたものの、全長配列の単離には至らなかった。そこで生物試料よりゲノムDNAを調製し、これを用いて次世代DNAシークエンサーにより全塩基配列を解読、アセンブル作業により配列コンティグのライブラリーを作成した。次いで、グラシンcDNAの配列を参照して、コンティグライブラリーからグラシン遺伝子をコードすると考えられるDNA断片を取得した。得られた配列でBLAST検索を行ったところ、グラシンは既知のタンパク質とほ全く異なる新規のタンパク質であることが明らかとなった。また、ヒスチジンを豊富に含む領域を確認することができた。さらに、グラシンのゲノムDNA配列からグラシンをコードする人工遺伝子を設計し、合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、グラシンの構造決定と組換え体による機能再現の確認について研究を実施することを計画した。全長cDNAを得るには至らず、計画に遅れをきたした。グラシンの遺伝子配列はGC含量が高いことがわかり、このためPCR法によりcDNAを増幅することが困難となっていると考えられた。一方、次世代DNAシークエンサーを利用して全塩基配列の配列解析を行い、この配列情報からグラシン遺伝子をコードすると考えられるDNA断片を同定した。また、ゲノムDNAの配列情報からグラシンのゲノムDNA配列からグラシンをコードする人工遺伝子を設計し、合成を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、組換えグラシンを生産して、天然のタンパク質が有する活性を再現するとともに、遺伝子改変によりグラシンによる形成されるグラシンの構造制御を行うこととしている。ゲノムDNAの配列情報からそこでグラシンのゲノムDNA配列からグラシンをコードする人工遺伝子を設計し、合成を行うことができていることから、今後はこの遺伝子を利用して大腸菌を宿主として組換えグラシンを生産し、試験管内実験により天然型グラシンが示したシリカ形成効果が再現されることを確認する、また、この人工遺伝子を利用して変異体を作成し、グラシンの機能解析を実施して研究を推進し、当初の目的を達成することとしている。
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