2013 Fiscal Year Annual Research Report
テンプレートを用いて構造制御されたマグネタイトナノ粒子の創成と磁気的特性解明
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
25107727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 敏樹 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (20324973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグネタイト / テンプレート / 結晶構造 / 磁気的特性 |
Research Abstract |
本研究では,マグネタイトの水溶液合成プロセスにおける,配向ゲルや立体構造の異なるテンプレート分子との相互作用解明を通じて,得られるナノ粒子の形態制御を試みる。また,これらナノ粒子の磁気的特性や交流磁場中における発熱特性の調査を通じて,有機分子との相互作用の影響を追究する。各種有機分子を共存させた条件でマグネタイト結晶の水溶液プロセス合成を試みた。まず,アニオン性,中性,カチオン性の種々の高分子を添加した。その結果,アニオン性高分子のうち,ポリアクリル酸はマグネタイト結晶生成を阻害し,代わって酸化水酸化鉄が形成された。一方,アニオン性のポリスチレンスルホン酸,カチオン性のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド,中性のポリエチレングリコールの添加は,マグネタイト結晶成長をやや後らせるものの,マグネタイトの核生成自体は阻害しなかった。 一方低分子化合物を添加した場合では,高分子の場合とやや挙動が異なり,カチオン性のトリスヒドロキシメチルアミノメタンを添加したときであってもマグネタイト形成が阻害された。これは,有機分子の電荷のみならず,鉄イオンとの錯体形成能もまた水溶液環境におけるマグネタイト結晶形成挙動を支配する因子として働くことを示唆している。また,らせん状高分子であるDNAを種々の濃度で添加して酸化鉄の合成を試みると,濃度増加につれてマグネタイトの結晶性や生成量が低下し,代わってヘマタイトの生成が認められる傾向にあった。配向性についてはDNA無添加のものと比べて大きな差は認められなかった。また,マグネタイトや,マグネタイト-多糖類ハイブリッドを基材として,直径数~数十ミクロンの真球状粒子がエマルションを反応場とする手法で得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り,官能基や立体構造の異なる高分子やナノチューブなど,種々のテンプレート分子を用いたマグネタイト合成を行い,その結果得られるナノ粒子中の結晶構造や結晶子サイズがテンプレート分子の種類や濃度により異なり,さらに濃度増加により結晶子サイズの低下やマグネタイト結晶形成の阻害が認められるという材料化学的に興味深い成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は異なるテンプレート分子を用いて得られた酸化鉄結晶の磁気的特性解析を試料振動型磁力計などを用いて定量的に測定し,結晶構造と磁気特性との関連性を明らかにする。さらに,より磁気的特性に優れることが知られている高アスペクト比の棒状マグネタイトが得られるような合成条件やテンプレート分子の探索を行う予定である。
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Research Products
(22 results)