2013 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜構造と光特性の融合による温感型発光性鎖状希土類錯体開発
Publicly Offered Research
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
25107730
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 美貴 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70306497)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ランタニド錯体 / 発光 / 鎖型連結分子 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、溶液中で構造および光機能が安定な希土類錯体をユニットに用いた発光性融合マテリアルの創成である。具体的には、配位子と種々の希土類イオンの融合により温度やイオンに応答して発光状態(発光色・偏光性)を変化させる環境応答型発光性希土類融合マテリアルを創成する。 一連のランタニドを中心金属に有するヘリカルな希土類錯体(LnL, Ln=Nd, Eu, Gd, Tb and Ho)の合成とその光基礎物性を論文としてまとめた。EuLおよびTbLを発光ユニットとし、ベンゼンジカルボン酸で連結した鎖状錯体の合成法を基に、アントラセン(An)ジカルボン酸An-dcでの架橋を試みた。このAn-dcは、紫外光励起によりAn骨格の青色発光を示す。EuLとAn-dcの鎖状構造であり規則性を伴っていることは、IR, XPSおよび放射光XRDで確認した。しかし、この系ではEuLもAn-dcも室温、77 Kのいずれの場合でも発光を示さない。TbLでも同様の化合物を合成することができたが、これらも発光しない。この興味深い現象は、本来の目的と拮抗しているように見受けられるが、消光の原因を明らかにすることはより強発光性の化合物を設計するための重要な結果である。 An骨格の電子遷移は、π共役の単軸方向の遷移モーメントLaが発光に寄与する。An-dcは、9, 10-位にカルボン酸を有し、LnLとはこのカルボン酸がカルボキシレートとして金属イオンと結合する。すなわち、Anの単軸方向に金属イオンが結合すると、電子構造は大きく変化し、発光を司るLa遷移よりも低エネルギー側に発光に関与しない遷移が新たに生じる可能性が示唆される。これを証明するために、ナフタレン(Np)骨格を有する同様のリンカーを用いた。その結果、Npに由来する発光とLnの発光が連結鎖型に錯形成しても保持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は粉末状態での発光機構の解明を目的としており、合成と発光スペクトル測定からこの目的を達成したため、現在この論文を投稿準備の段階であるため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、粉末の情報を基盤として、発光性鎖状分子を薄膜化させる。これにより偏光発光特性を促し、発光に付加価値のある融合マテリアルの創成を目指す。 具体的には、疎水処理あるいは親水処理を施した無蛍光の石英基板に、スピンコート法や浸漬法で鎖状錯体を固着させる。いずれも湿式膜法であり、環境負荷が低減されることが期待される。ただし、濃度調整等に試行錯誤を必要とするため、今年度の前半は、溶液調整の基準化を試みる。 薄膜の構造は、大型放射光実験施設SPring-8を用い、放射光XRDパターンから短い距離における秩序性を考察する。またX線光電子スペクトルやラマン分光なども用い、金属錯体ユニットと、リンカー分子の結合の様相についても考察を試みる。 発光スペクトルは、既存の高精度な装置に偏光子を取り付けて直線偏光発光の観測を試みる。 構造と発光スペクトルの相関から、分子配列や鎖状錯体の基板に対する傾きなどを考察し、再度薄膜調製の条件にフィードバックし、本来の目的を目指す。
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Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Synthesis, structure and luminescence studies of Eu(III), Tb(III), Sm(III), Dy(III) cationic complexes with acetylacetone and bis(5-(pyridine-2-yl)-1,2,4-triazol-3-yl)propane2013
Author(s)
Alexey N. Gusev, Miki Hasegawa, Tomohito Shimizu, Tomonori Fukawa, Shoya Sakurai, Galyna A. Nishchymenko, Victor F. Shul’gin, Svetlana B. Meshkova, Wolfgang Linert
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Journal Title
Inorganica Chimica Acta
Volume: 406
Pages: 279-284
DOI
Peer Reviewed
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