2013 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性光メタマテリアル
Publicly Offered Research
Project Area | Electromagnetic Metamaterials |
Project/Area Number |
25109707
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶川 浩太郎 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (10214305)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタマテリアル / 表面プラズモン |
Research Abstract |
本研究では、主にトップダウン的な手法を使って液体に可溶な光メタマテリアルを作製することを目的とする。ここでは「可溶」とは、熱力学的な溶解ではなく、溶液中に光メタマテリアルが安定に分散されている状態を指す。この方法では、よく規定された構造で、かつ、3次元的な性質を示す光メタマテリアルが作製できる。研究項目は、以下の通りである。 (1)所望の光学特性を示す可溶性光メタマテリアルの設計手法を確立する。(2)トップダウン手法にもかかわらず、液体中に安定して分散する光メタマテリアルを作製する。(3)得られる溶液は極微量(0.1~1μL)であるが、その光学測定が可能な光学系を作製する。そして、設計通りの光学特性が得られているか調べる。 平成25年度では、以下の3つの項目について研究をおこなった。(1) 大きな吸収断面積、散乱断面積、旋光度、屈折率、非線形光学特性などが得られる構造を明らかする。MIMのユニットの計算には、離散双極子近似(DDA)やミー理論を使った解析的な計算を行い、分極率等を見積もる。 (2) 設計された構造を実現する。ここでは、収束イオンビーム(FIB)を使ったトップダウン的な手法で作成したメタマテリアル分子、および、サイズ分布が小さい高分子球を使った作製手法の両方について検討を行う。(3)極微量の光学測定を行う光学系を作製する。そして、溶液中に分散した光メタマテリアルの光学的な評価を行い、設計された特性と比較する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設計の項目では、3つの手法で計算ができるように研究をすすめた。離散双極子近似(DDA)を用いたシミュレーションでは、任意の形状のMIM多層構造の計算が行えるようにした。また、DDAによる計算をサポートするため、FDTDによるシミュレーションが行えるように環境を整備した。以上2つの計算手法は数値計算によるものであるが、設計上の見通しをよくするために、ミー理論を使った多層の微小球の計算プログラムを作製した。この計算では、球や球に多層膜が堆積した構造しか計算できないが、構造設計をする上での見通しが良いため、この方法も合わせて行うことことができるようにした。 作製の項目では、収束イオンビームを用いたトップダウン的な手法によるナノ構造の作製条件を調べて、それが可能となった。また、高分子球を用いた作製方法も実験を行い、基板から高分子球を脱離させて、分散できる条件を調べた。また、微量のサンプルを測定できる光学系の作成をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に引き続き26年度では、光メタマテリアルの設計、および、光メタマテリアルの作製と評価を行う。後半では、顕微分光技術を使い、単一のユニットの光学特性を観察する。現有設備の超高感度非線形顕微分光システムは、単一の金属ナノ構造(ここでは、メタマテリアルのユニット構造)の非線形光学応答も観察可能であり、微視的な構造解明に威力を発揮する。ここで得られた結果は、有効媒質近似を用いる必要はなく、DDAを使った計算と直接比較を行うことができる。その結果、大きな吸収断面積、屈折率、非線形光学特性が得られる構造を明らかにすることができる。
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