2013 Fiscal Year Annual Research Report
NMJを起点とするdying-backパソロジーの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
25110711
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40202387)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 神経科学 / 病理学 |
Research Abstract |
近年、動物モデルや臨床検体を用いた解析から、筋萎縮性側索硬化症(ALS)における運動神経特異的な変性が遠位の軸索変性、特に、神経筋接合部(NMJ)からの軸索の離脱に始まるとする「dying-back」モデルが提唱され、NMJを介した逆行性(retrograde)シグナルの重要性が示されつつある。代表者は独自に単離したDok-7蛋白質がNMJの形成に必須のシグナル分子であり、その過剰発現が骨格筋におけるNMJ形成シグナルを高度に増強することを発見した。そこで、本研究では、独自に開発した技術により筋管側からのNMJ形成シグナルを増強し、それがALS様病態に与える影響を個体、組織、分子レベルで解明することを通じて、NMJを起点とするdying-backパソロジーの理解とそれに基づくALS病態の解明を目指している。 以上の経緯を踏まえ、本年度の研究においては導入済みのALSモデルマウスにおけるNMJの異常を含めた多様な病態の経時変化を詳細に検討し、NMJ形成増強実験の基盤となる知見を収集した。その上で、独自に開発した技術を用い、NMJ形成シグナルを高度に増強したALSモデルマウスを作出した。現在、経時的に変化するdying-backパソロジーに与える影響の検討を進めている。なお、その一環として、運動神経細胞体や骨格筋の後シナプス核における遺伝子プロファイル解析に必要な解剖学的手法の確立を進め、少なくとも後者については、一部の解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも記載の通り、今年度はNMJ形成増強実験の基盤となる知見の収集を進めると共に、NMJ形成シグナルを高度に増強したALSモデルマウスの作出に成功した。さらに、遺伝子プロファイル解析に必要な凖備を進め、一部の解析に着手した。それ故、上記②を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、本年度の研究は順調に進展している。そこで、当初の計画に沿って、NMJ形成シグナルの増強がdying-backパソロジーに与える効果の解析と、運動神経細胞体や後シナプス核の遺伝子発現プロファイルの解析を着実に推進する。
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