2013 Fiscal Year Annual Research Report
中枢シナプスの形成、維持、可塑性を制御する分子から解く病理メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
25110713
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 崇之 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (60612760)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シナプス形成 / シナプス可塑性 / 病理学 / 神経疾患 / 分子遺伝学 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
精神疾患のような神経回路に関連する疾患のメカニズムを知るためには、ニューロン同士の繋がりであるシナプスの特性がどのような分子メカニズムで決定されているかを知らなければならない。これをコントロールするタンパク質をショウジョウバエの視覚神経系をモデルとして発見し、その作用メカニズムを解明することによって、関連疾患の病理メカニズムも解き明かすことを目的としている。まず我々は、中枢神経の微小なシナプスを可視化することはこれまで困難であったが、ショウジョウバエの神経のシナプスを特異的に標識する形質転換体が作製され、共焦点顕微鏡レベルでR7、R8の中枢シナプスを可視化できることを発見した。それと同時に、可塑性を計測する方法として、長時間1000ルクス程度の日常的な光を当て続けることにより、このシナプス標識マーカーが非局在化することを見出した。この系を用いて、シナプス形成の数と可塑性に必須な因子の網羅的な探索を行っている。具体的には、Gal4/UASシステムを利用したRNAiを誘導することによって、約200種の膜タンパク質と分泌タンパク質の機能を特異的に阻害した。RNAi系統は国内外のストックセンター(遺伝研、アメリカ、ウィーンなど)から購入した。染色からコンフォーカル顕微鏡での観察までを簡略化した方法により、可視化したシナプスの表現型を野生型と比較することにより、シナプスの数とシナプスマーカーの局在の変化を評価した。可塑性を測定するときは光刺激を与えることにより、野生型では起こるシナプスの構造変化が抑制されているのかを観察した。シナプスの可塑性と形成が異常となる原因遺伝子候補を複数個得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた膜タンパク質1000系統のうち、200系統のスクリーニングを終えた。いくつかの興味深い遺伝子を候補遺伝子として同定してきているので、今年度はそれらの個別な、より詳細な解析を行いたいと考えている。 また、後シナプスニューロンの不活性化が必須であることが分かり、後シナプスニューロンからのフィードバック・シグナルの存在が予想された。そのフィードバックシグナルの正体を探るべく、上記のスクリーニングとは別に、今までの知見から予想され得る候補遺伝子たちの中から選抜した候補遺伝子を試したところ、WNTシグナリングの一連の遺伝子が視神経シナプスの可塑的構造変化にかかわっていることが示唆された。これらの知見はまとめられ、論文発表に向けた準備に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は膜タンパク質をコードする候補遺伝子のうち、200系統のスクリーニングを終えた。いくつかの興味深い遺伝子を候補遺伝子として同定してきているので、今年度はそれらの個別な、より詳細な解析を行いたいと考えている。 また、新学術領域の他のメンバーとの共同研究を立ち上げ、神経疾患の原因遺伝子の候補として知られている遺伝子たちの疾病変異型を強制発現した場合に中枢シナプスがどのように変化するかを詳細に解析していきたい。
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Research Products
(8 results)