2013 Fiscal Year Annual Research Report
軸索変性の分子メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
25110718
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 俊英 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10301269)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 神経科学 |
Research Abstract |
コヒーシン複合体は染色体の接着に関わるタンパク質複合体で、ヒトではSmc1, Smc3, Rad21, Stag1/2という4つのサブユニットから構成されるリング状の構造を形成する。このリングの中に、細胞周期S期での複製により生じた姉妹染色分体を束ねて接着し (コヒージョン形成)、染色体を正確に分配するという、細胞の分裂・増殖に必須の役割を担っている。一方でコヒーシン複合体の構造的な特徴から、ゲノムをループ状に束ね、離れたエンハンサーを空間的にプロモーターの近傍に配置し、適切な相互作用を可能にすることで、遺伝子の転写を調節すると想定されている。また、ヒトのコヒーシン関連遺伝子の変異により引き起こされる疾患であるCornelia de Lange Syndrome (CdLS)では、姉妹染色体分配に異常を呈さないにも拘らず、精神遅滞、四肢の形成異常、などの分化発生異常を伴うことが知られている。このことは、コヒーシンの染色体接着以外の機能、即ち遺伝子発現調節機能が細胞分化に重要であることを示唆している。 我々は、コヒーシンの機能低下が中枢神経の発生・発達に及ぼす影響を明らかにするため、コヒーシンサブユニットの一つであるSmc3のコンディショナルノックアウトマウスを作成した。Smc3ヘテロ欠損マウスでは、大脳皮質神経細胞の樹状突起の複雑化、スパインの形態異常が生じることが確認された。また、大脳皮質で興奮性後シナプスマーカーであるPSD-95の発現低下が確認され、電子顕微鏡像からはポストシナプスの形態異常が観察された。これらの異常は、コヒーシンの遺伝子発現調節機能が破綻したために生じたのか検証するため、RNA-seqを行い、ヘテロ欠損マウスの大脳皮質における遺伝子発現変化調べた。現在、経時的な遺伝子発現変動について、解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コヒーシンサブユニットの一つであるSmc3のコンディショナルノックアウトマウスを作成し、その表現系を明らかにしている。現在は責任遺伝子の解析まで進んでおり、当初の計画通りに順調に進んでいると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
In vivoにおけるコヒーシンによる転写制御機構の解明を行うことが今後の研究計画である。
|