2013 Fiscal Year Annual Research Report
ALSと脊髄小脳変性症に共通した発症病態の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
25110719
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 行郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80542563)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / RNA / 筋萎縮性側索硬化症 / 脊髄小脳変性症 / 痴呆 / 遺伝子 |
Research Abstract |
SCA2型は、Ataxin-2遺伝子のCAGリピート(ポリグルタミン鎖)異常伸長が原因であるが、最近になって本リピートの中等度伸長が、ALSの発症を有意に高めることが判明し、Ataxin-2の機能破綻が、両疾患に共通した神経変性機構の根底にあると考えられる。しかしながら、Ataxin-2の生理的機能は依然として不明である。このため、本研究は、Ataxin-2の生理的機能を同定し、これを基盤として神経変性疾患に共通した発症メカニズムを解明することを目的として開始した。まず、培養細胞を用いてAtaxin-2の安定発現細胞株を樹立し、Ataxin-2に結合するRNAを回収するため、PAR-CLIP法を実施した。その結果、何らかのRNAがAtaxin-2に直接結合していることが分かった。このため、これを鋳型にしてcDNAライブラリーを作成し、網羅的シーケンスを行った。その結果、Ataxin-2は、mRNAの3’非翻訳領域に主に結合していることが分かった。また、Ataxin-2の発現を変動させると、これに伴って標的mRNAの発現も変動し、Ataxin-2がmRNAの安定性を促進する役割を果たしていることを特定した。さらに、ポリグルタミン鎖は、欠損させても異常に伸長させても、本来Ataxin-2が持つmRNA安定性促進機能が有意に低下することが分かった。これらの結果から、Ataxin-2は、mRNAの安定性を促進するRNA結合蛋白質であり、ポリグルタミン鎖異常伸長がもたらす病理的意義も明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り培養細胞を材料にしてAtaxin-2を標的としたPAR-CLIPを行い、さらにその後の検証実験を通して、Ataxin-2の標的RNAやその生理的機能の同定に成功した。これらの成果はまとめて、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は培養細胞を用いて得られた知見を基盤として、動物を用いた個体での病態解明に移行する予定。すでに、マウス脳の抽出液を材料としたPAR-CLIP法の確立・検証のための実験を開始している。
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[Presentation] Comprehensive analysis of the roles of TDP-43 and FUS in RNA processing2013
Author(s)
2. Li, Q., Yamamoto, M., Seno, S., Matsuda, H., Suzuki, Y., Kawahara Y.
Organizer
第36回日本神経科学大会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20130620-20130623
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