2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経発達障害におけるシナプス病態の分子基盤解明
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
25110721
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 欽一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80302892)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シナプス / MeCP2 / レット症候群 |
Research Abstract |
メチル化DNA結合タンパク質MeCP2は重篤なニューロン機能障害を示すRett症候群(RTT)の原因遺伝子産物である。しかしながら、MeCP2の機能不全によりRTTのようなニューロン機能障害が引き起こされる分子メカニズムについてはほとんど明らかになっていない。そこで我々は、MeCP2の新規機能同定を目的として、神経系の主要細胞種(神経幹細胞、ニューロン、アストロサイトおよびオリゴデンドロサイト)におけるMeCP2相互作用因子のプロテオミクスによる網羅的探索を行った。興味深いことに、各細胞種特異的および共通のMeCP2相互作用因子として多くのRNAプロセシングに関与するRNA結合タンパク質が同定された。この結果はMeCP2がRNA結合タンパク質を介して転写後の遺伝子機能発現を制御し得ることを示唆した。そこで、これらRNAプロセシング関連タンパクの中でも特にmiRNAのプロセシングに関与するものに着目してさらに解析した結果、MeCP2が特異的なpri-miRNAからpre-miRNAへのプロセシングに重要な役割を果たすことを明らかにした。ところでMeCP2欠損ニューロンでは、興奮性シナプス伝達の異常や細胞体収縮などの表現型が観察される。しかし我々は、このMeCP2標的miRNAを発現させるとこれらの表現型が改善されることを見出した。さらにこのMeCP2標的miRNAの機能を相補的オリゴヌクレオチドの導入により阻害すると、MeCP2欠損ニューロンの表現型が再現されることが分かった。これらの結果は、このMeCP2標的miRNAがMeCP2の下流で機能していること、また、MeCP2欠損によるRTT病態発症において重要な役割を果たす可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シナプス形成に大きく左右される、ニューロンの発火頻度を解析する技術も習得し、それを用いて、MeCP2標的下流miRNAの機能を詳細に解析する系が立ち上がったため。
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Strategy for Future Research Activity |
シナプス形成や細胞体サイズに関わるMeCP2標的下流miRNAの標的mRNAを数種類同定できたため、今後はこれらの機能解析も推進する。
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Research Products
(1 results)